チボリとアルゴ21,MSPサービス拡大に向けて提携を強化

【国内記事】 2001.07.17

 日本チボリシステムズ(チボリ)とアルゴ21は7月17日,中堅規模企業向けのMSP事業拡大に向けて,支援体制・協業の強化を行うことを明らかにした。両社は2000年2月に提携を締結しており,これに基づきアルゴ21は,チボリの運用管理システムを用いて同社のセンターから顧客企業のシステム運用,監視を行うマネジメントサービスを提供している。

 システムの拡張に合わせて適切な管理を行い,トラブル発生時には迅速な復旧作業を行う――こうした作業が簡単なものだったならば,MSPなど必要なかっただろう。だが現実は正反対だ。システム管理者は日々の管理作業に追われ,そのために必要なコストも大きなものとなっている。スキルを持った管理者が不足している中小規模企業にとっては,この問題は特に深刻だ。

 チボリとアルゴ21,あるいはそのほかのMSP(Management Service Provider)事業者が注目しているのは,こうした部分だ。MSPは,企業に代わってネットワークやサーバ,さらにアプリケーションの稼働状況を監視し,トラブルが発生した場合には取り決めに従って再起動などの復旧手順を実行するサービスを提供する。自社で管理作業を行う場合に比べ,低コストで監視・管理作業を行えること,また人員に余裕がなくとも最新のシステムに応じたメンテナンス体制を取れることなどがメリットとなる。

 アルゴ21によると,昨年のサービス開始以来,11社が同社のMSPサービスを利用しているという。完全に顧客サイトにサーバを配置するケース,アルゴ21のセンター内に一部サーバをハウジングするケース,あるいは他のデータセンターに収容したサーバを監視するケースなど,その利用形態はさまざまだ。

 今回の提携強化に当たり,チボリ社長の中畑恒夫氏は「我々はメーカーだけに製品には強いが,実際にどのように顧客サイドで運用されているかという部分は弱い。サービスビジネスに実績を持つアルゴ21と協力することによって,我ながらいいバランスの体制が整えられたと思っている」と述べた。

 また,アルゴ21代表取締役社長の大岡正明氏も,「大企業で定評のあるチボリ製品を中堅企業にも活用して頂きたい」とし,さらに「今のところ,チボリのライセンス販売と運用サービスの比率は3対7程度だが,今後はMSPを事業の大きな柱にしてやっていきたい」と語っている。アルゴ21では,今回の提携強化に合わせ,MSP事業のための人員を40名増員したと言うことだ。

 さらに,今後はアルゴ21のMSPサービスを通じて寄せられたリクエストを,チボリにフィードバックしていくなど,技術的な面からの支援体制も強化していくという。また,同日発表されたストレージ管理製品などを用いた,ストレージ,およびバックアップを支援するサービスも検討していくという。

 また,質疑応答の中で中畑氏は中堅企業向けの展開について触れ,「中堅企業の場合,MSPなどを利用するというのが1つの手段。だが中には,どうしても自前で運用管理を行いたいと言う企業もある。しかし,現在のチボリのソリューションではSI工数が多く,導入がやや難しいといわれている。そこで,今までのソリューションをベースに,機能範囲は限定されるが,より少ない工数で導入できるものを考えている」と述べ,いわば機能限定のTivoli「ライトバージョン」を検討していることを明らかにした。

関連リンク

▼日本チボリシステムズ

▼アルゴ21

[高橋睦美 ,ITmedia]