e-Day:NECの121ware.comを陰で支えるカナのe-CRM技術

【国内記事】 2001.08.29

 今月上旬のこの欄で,NECが運営するダイレクトチャネルの「121ware.com」について書いた。サイトでパソコンを注文してから届くまでの1週間,最新のITが駆使されたe-CRMシステムは,あの手この手のワンツーワン手法を繰り出してきた。

 コミュニティーメンバーへの勧誘に始まり,「配達日のお知らせ」「出荷のお知らせ」「納品の確認」まで,一連の電子メールが次々と届き,その間にも航空会社のマイレージプログラムのようにポイントプレゼントやアンケート,お約束のメールニュースも舞い込んだ。

 わずか500円分のポイント値引券(しかも有効期限が1カ月)をプレゼントされてもあんまりうれしくなかったが,まんまとつられてアンケートに答えてしまったのは,既に書いたとおりだ。

「これからさらにいろんなオファーが舞い込むはずですよ」と教えてくれたのは,カナソフトウェアの中沼康昭社長。8月29日,都内のホテルで戦略発表会を終えたあとだった。

 同社は,e-メールベースのCRMに強みを持つカナコミュニケーションズとアナリティカルCRMのブロードベースソフトウェアが合併した新生カナの日本法人。121ware.comのワンツーワンマーケティングを支えているのは彼らの製品だという。合併によって新生カナには,Webベースのコンタクトセンターソリューションと分析ツールを駆使したコマース/マーケティングソリューションがそろった。

 121ware.comでは,関連商品を売り込むクロスセルや買い替えを促すアップセルの自動化も図るべく,カナ製品群の追加導入を検討しているという。かつては強力な販売代理店網に支えられていたNECのパソコン事業だったが,いつのまにか121ware.comは,NECのコンシューマー向けパソコンの10%を取り扱うチャネルに成長している。

 戦略発表会や顧客向けの「KANA eCRM Summit」のために来日したトーマス・ドイルCOOは,「第2四半期,われわれはウォール街の予想を上回った数少ないITベンダーだった。向こう数四半期は業績はフラットなまま推移するとみている。もちろん,現在の状況でフラットというのは“良い”ということです」と胸を張る。

 ドイル氏は,第2四半期が好調だった背景には,マイクロソフトのカスタマーサービスが同社のWebベースのコンタクトセンターソリューションを採用したことや,金融界でバンクオブアメリカやモルガンスタンレーなどがカナのe-メールソリューションを標準採用したことなどがあるとする。

 この日,ゲートウェイがアジア太平洋市場から撤退することが明らかになり,どこへ行ってもその話題で持ちきりだった。

「IT不況? それこそがわれわれのビジネスチャンスだ」(ドイル氏)

 マイクロソフトは,何百万という顧客からのリクエストにもこたえられるようにカナのWebベースのコンタクトセンターソリューションを採用し,さらにコストも削減しているという。

「電話によるコールセンター1本でいく,という企業はシーベルやクラリファイを使い続ければいい」と,ドイル氏は余裕すら見せる。

「ゲートウェイ? われわれの顧客じゃなかった」(ドイル氏)

[浅井英二 ,ITmedia]