コンテンツ配信サービスに軸足を移すアットホームジャパン

【国内記事】 2001.08.30

 アットホームジャパンは8月30日,都内で記者会見を行い,今後の戦略に関する説明を行った。

 同社は各地のケーブルテレビ(CATV)事業者,42社と提携し,CATV回線を利用した高速インターネット接続サービスや専用コンテンツなどを提供する「@NetHome」サービスを展開している。

 現在,同社のユーザー数は約34万人。年末までにはこれを50万人に伸ばす計画だ。併せて提携CATV事業者も48局に拡大する予定で,東北・北陸の一部を除く全国をカバーする。

コンテンツ配信サービスに比重を

 @NetHomeサービスは,CATV回線による接続サービスとコンテンツ配信サービス,CATV事業者向けのバックボーン接続サービスの3つから構成されている。現時点では,売上のほとんどは接続サービスによるもの。しかし今後は,コンテンツ配信サービスに徐々に比重を移していく計画だ。

 その有力な手段となるのが,年内に開始予定の有料コンテンツ配信サービスである。同社は現在,専用のブロードバンドポータルサイトにおいて料理のレシピやニュースなどのストリーミングコンテンツを提供しているが,これらはすべて無償だ。

 この有料コンテンツ配信サービスでは,対戦型のゲームをはじめ10〜15タイトルを提供する予定だ。同社は現在,ユーザー認証システムや課金システムの検証を進めており,この目処がつき次第,有料コンテンツの配信を開始する方針である。ただし,コンテンツ料金は今のところ未定だ。

 併せて,ブロードバンドならではの広告方式も模索していく。ストリーミングによるコマーシャルや,3Dキャラクタを用いた広告といった技術を導入し,新たな収益を確保する考えだ。

カスタマサポートを含めれば,料金はADSLと同水準

 ブロードバンドというカテゴリにおいては,最近はもっぱらADSLが話題を独占している。しかし「我々のサービスも順調に拡大している。今は単に,ADSLの伸びがそれ以上にあるというだけ」(同社代表取締役社長,廣瀬禎彦氏)という見方だ。

 特に,ADSL接続サービスの料金は軒並み2000円台に突入しているが,これに対し廣瀬氏は「Yahoo! BBの基本料金には,これにはカスタマサポートやコンテンツの料金は含まれない。これを考慮に入れれば,@NetHomeと同程度だろう」と述べた。さらに,回線品質や速度の変動を考えると,VoIPなどのアプリケーションのインフラとしては,CATVのほうが有力ともいう。

 これとともに同社では,国道やJR線沿いに敷設された光ファイバなどを利用してバックボーンの充実を図り,さらなる増速と値下げも進めていく方針だ。

 コンテンツに軸足を移すという意味では,ADSL事業者向けにコンテンツを提供するというビジネスも考えられる。だが,提携CATV事業者にとって,ADSLサービスは真っ向から対立する存在であり,同社のコンテンツによって差別化を図っている状況である。こうした背景から,「よほどのことがない限り,ADSL向けにコンテンツを提供することはない。CATV事業者自身がADSLサービスを展開する場合は例外だが」(廣瀬氏)

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▼アットホームジャパン

[高橋睦美 ,ITmedia]