e-Day:HPの「invent」って何か知ってる?

【国内記事】 2001.09.06

 ヒューレット・パッカード(HP)によるコンパック買収の余震が続いているIT業界だが,ISVとして両社と良い提携関係にあるオラクルが横浜で「iDevelop」を開催した。HPとコンパックはそろってこのデベロッパーズカンファレンスのスポンサーに名を連ねている。

 基調講演のために来日したレネ・ボンバーニ副社長は,「HPもコンパックもインテルの64ビットCPUであるItaniumを使ったコモディティハードウェアを志向している。われわれにとっては非常にいい合併となる」とみている。

 Oracle9iの目玉であるクラスタ技術「Real Application Clusters」(RAC)は,3年前にコンパックに買収された旧デジタルイクイップメントのクラスタ技術をライセンスして拡張したものだ。初めから大きなコンピュータを買う必要はなく,安価なPCサーバのプールに必要に応じてボックスを追加していくだけで,処理能力はスケールする。その際,アプリケーションを変更する必要もない。来るべき64ビットの世界でもいち早くコモディティ化を視野に入れているHP/コンパックの統合は,オラクルにとって渡りに船といえる。

「メインフレームを売りたいIBMは脅威になるだろう」(ボンバーニ氏)

 ただ,新生HPの船出が順風満帆とはボンバーニ氏も考えていない。もう既に多くの専門家が指摘しているとおり,Pocket PCから始まってPC,サーバに至るまで多くのハードウェア製品ラインが重複しているが,それ以上に心配なのがHPのマーケティング下手なところだと指摘する。

「HPには最高の研究部門があるのに……」とボンバーニ氏。

 Webサービスでは2年以上も前から「e-speak」として発表しているが,それで大儲けをしているという話は聞かない。UNIXに早くから投資を行い,OSF(Open Software Foundation)の設立にも参画したHPだが,HP-UXとHP9000サーバのコンビは,人気という点ではサンの後塵を拝している。

「HPのロゴには“invent”(発明)の文字が入っているけど,かつての革新的だった時代をだれも覚えていない」とボンバーニ氏も厳しい。

 しかし,HPの強みはコンサルティングとインテグレーションにある。しばしば,ライバルであるサンのスコット・マクネリCEOがHPのことを「プリンタ屋」呼ばわりしていたが,ボンバーニ氏によると彼らが生き残ってこられたのは優れたコンサルティング能力のおかげだという。

 フィオリナは,プライスウォーターハウスクーパース買収に意欲を見せたこともあるし,噂止まりだったがサイエントの買収も図ったようだ。これからも分かるとおり,今回のコンパック買収の狙いは,何といっても旧DECの擁した巨大なサービス部隊だろう。

「HPのコンサルティングとコンパックのサービスが手を結べば,IBMにとってやはり脅威だろう」(ボンバーニ氏)

 6万5000人に膨れ上がる新生HPのサービス部門を率いるのは,2年前,CEOの指名を最後までフィオリナと争った古参のアン・リバモアだ。とうにハードウェアの時代ではなくなったのか。

[浅井英二 ,ITmedia]