ICカード戦略で新しいライフスタイルを提案するビザ・インターナショナル

【国内記事】 2001.09.19

 ビザ・インターナショナルは9月19日,同社のICカードに関する現状と消費者意識調査についての説明会を開催した。

 ビザは2001年9月現在,全世界で10億枚以上のカードを発行し,約2兆ドルの年間利用額を誇る世界最大のカード会社。加盟店は2200万社以上で,ピーク時には1秒当たり4000件のトランザクション処理を行うという。日本国内でも,6220万枚以上のカードを発行し,年間利用額8兆9000億円,約2万社の加盟店がある。

 同社は,1980年代からICカード変取り組みをスタートし,1990年代から2000年にかけてさまざまな実証実験を行うことで技術およびビジネスにおけるノウハウを蓄積。クレジットとデビッド用のアプリケーションであるVSDC(Visa Smart Debit Credit)をいち早く実現している。その後もICカード化を積極的に支援し,2001年から順次ICカードへの本格移行を開始した。

 ICカードの必要性について同社は,不正使用や偽造被害の対策もICカード化の理由の1つだが,それ以上にICカードでしか実現できない利便性の追及や,そこから得られる新たなビジネスチャンスに大きな期待をよせている,としている。

 今後は,VSDCを中核に,ポイントプログラムや電子ウォレット,携帯電話,e-コマースなど,ICカード上でさまざまなアプリケーションを実現する多機能ICカードの実現に向けたさまざまな取り組みを推進していく計画という。ビザでは,これを「u-コマース」(ユニバーサル・コマース)と呼び,簡便な支払いを実現するとともに,情報とサービスへの迅速なアクセスを,いつでも,どこでも,どんな方法でも提供できる仕組みを整備していくとしている。

利用者のニーズを常に把握

 ビザでは,いっそうのICカードの普及のためには,常に利用者が求めているのはどのような機能であるかを把握しておくことが必要という。そこで同社は,何がICカードに対するニーズを左右するのか,ICカードに対するニーズと期待は何か,ICカードに求められる機能はどんなものか,などを理解することを目的とした消費者意識調査を実施し,その結果を明らかにしている。

 同調査では,オーストラリア,香港,韓国,台湾,そして日本の5カ国で実施。それぞれの国で,18〜50歳のカードを所有する男女200人ずつ,合計1000人を対象に,対面式のインタビューを行うことで調査が行われたという。

 調査結果は,「ICカードに何を求めるか」という質問には,78%の利用者が「利便性を優先する」と答えたほか,71%が「安全性の銃油性」を指摘。ICカードのメリットとしては,個人の安全と安心の向上,所有カードの枚数削減,多機能なカードなどが挙げられている。

 また,ICカードを単なる決済用カードとして利用するだけでなく,健康保険証やパスポート,運転免許証,自宅のカギなどにも利用できる「ライフスタイルカード」になっていくことを望んでいるという。

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[山下竜大 ,ITmedia]