Linux Column:讃岐うどんを食べながら日本のオープンソースコミュニティーを考える

【国内記事】 2001.09.25

 秋晴れの3連休,四国は高松に行ってきた。讃岐うどんを食べる旅行に……,というわけではなく,香川大学工学部(高松市)で開催された「オープンソースシンポジウム2001」に参加するためだ。

 2日間に渡って行われたシンポジウムの初日に,私は基調講演として「LinuxWorld San Francisco」の報告と,今後の日本でのオープンソースの課題についての講演を行った。LinuxWorldのレポートは,以前ここで紹介した内容と同じなので,そちらをご参照いただくとして,オープンソースの課題を3点ほど挙げてみた。

「オープンソースに対する誤解を解かなければならない!」

 やはり,まだまだオープンソースは,「無責任だ!」「危険だ!」という漠然とした不安があるようだ。これを「オープンソースは安心だ!」というふうに,感じてもらえるようにしていく余地はまだまだ残されている。

「ライセンスの解釈に関するコンセンサスを作り上げなくてはいけない!」

 自分たちの自由を守るべきライセンスについて,いまだに内部でのコンセンサスを作り上げることができていない。内部で後ろ向きな議論を繰り返すのではなく,早急にコンセンサスを基に,外に向かっていくべきではないだろうか?

「コミュニティーの強化」

 ここ数年のオープンソースムーブメントの盛り上がりから日本全国に各種ユーザーグループが結成されるなど,一定の成果を得ることができた。反面,「メンバーが固定化されてきた」「新しい活動目標が見つからない」などといった停滞を招いてしまっている現状も無視できない。特にこれまでの動きはビジネスとは関係ない,あるいは排斥するような動きが多々あったが,次の段階においてはビジネスドメインも視野に入れた,新しいコミュニティーの再構築を行うべきではないだろうか?

 特に3点目のコミュニティーの強化については,翌日行われたディスカッションで非常に活発な議論が飛び交い,各地域ユーザーグループでは「まずはインストール」ということでインストールセミナーの開催などを足がかり,新しい活動メンバーを募集していこうという意見が出た。

 私からは,現在のオープンソース利用者がどれぐらいいるのか「オープンソース国勢調査」を行うこと,またそれらの利用者が一堂に会することのできる集いを企画することを提案しておいた。

 米国もそうだが,日本においてもオープンソースムーブメントは1つの踊り場に来ていると感じている。それは趣味のホビーユース,エンタープライズも含めたビジネスユースに限らずだ。

 オープンソースは,趣味だけで成り立つものでもなく,あるいはエンタープライズだけで成り立つものでもなく,緩やかな,それこそ漠然とした「コミュニティー」の存在こそが重要だと思う。

 今回のシンポジウムでは,主に西日本を中心にしたオープンソースコミュニティーのメンバーが,夜も温泉で酒を酌み交わしながら,議論をし,親交を深めることができた。この成果が目に見えて表れてくるのはいつになるのか分からないが,何かを作り出すことはできたのではないだろうか。

 これもまた,1つのオープンソースのあり方だと思う。

[宮原 徹びぎねっと]