シスコがメトロ向けソリューションを発表,特徴は信頼性の確保

【国内記事】 2001.10.03

 シスコシステムズは10月3日,メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)向けの新製品「Cisco 10720」を発表した。

 Cisco 10720は,広域イーサネット接続やMANイーサネット接続を収容し,MANバックボーンやIP-VPN網に接続するルータ製品だ。これは同社の「メトロ IP Routingプラットフォーム」の中核をなす製品となる。

Cisco 10720

 これまで企業のインターネット接続やWANに利用されてきたフレームリレーやATM,SONET/SDHに代わって,メディアにイーサネットを用いたサービスが徐々に浸透しつつある。だがこれらのサービスにはイーサネット技術ならではの課題が残っていることも事実だ。たとえば信頼性の確保やスケーラビリティ,サービスの品質保証などだ。現状では,特に信頼性の確保や障害回復などの点で,やはりSONET/SDHのほうに軍配が上がる。

 シスコではこの課題を克服するための技術をCisco 10720に実装している。それがDPT(Dynamic Packet Transport)で,障害発生時やノードの新規追加の際に,経路を50ミリ秒以内に回復できるという。スパニングツリーによる経路回復に比べ,大幅にダウンタイムを短縮できる。

 このDPTは,現在標準仕様の策定が進められているRPR(Resilient Packet Rings,IEEE802.17)に準拠した技術だ。1つのリングに最大128ノードまで構成できるという。

 同時にSPR(Spatial Reuse Protocol)の実装により,リング構成をとる光ファイババックボーンを二重化し,しかも双方のリングにトラフィックを流すことができる。これにより帯域をいっそう有効に活用できる。

 この日行われたプレス向け説明会のデモンストレーションでは,実際にストリーミング動画を流しながらノード(Cisco 10720)の新規追加を行い,トラフィックに影響を与えずに作業を行える様子を実演した。

 Cisco 10720にはさらに,IP-VPNサービスとの柔軟な統合を可能にする機能も追加される。

 1つは,802.1q VLANとMPLS PEの持つVRFのマッピングを行う機能だ。これにより,MPLSをベースとしたIP-VPNの足回りに,イーサネットアクセスを容易に組み合わせられるという。もう1つがEoMPLS対応で,これによりイーサネットフレームをMPLSにトランスポートできる。シスコでは,年末から来年初めの時期にリリース予定のIOS 12.0.21STによって,Cisco 10720をEoMPLSに対応させる予定だ。

 当初は,Cisco 10720向けアップリンクモジュールとしてOC-48 DPTが,またダウンリンク側では10/100BASE-TX,100BASE-FXを24ポート搭載するモジュールがリリースされる。将来的にはOC-192対応のアップリンクモジュールやギガビットイーサネット対応のアクセスモジュールも追加される予定だ。

 Cisco 10720の出荷は11月の予定で,価格はOC-48モジュールを搭載した場合で1000万円前後という。

 なおシスコは同時に,GSR12400シリーズでは最小となる4スロットを備えた「Cisco 12404」,同じくCisco 7600シリーズの中でもコンパクト化を図った「Cisco 7603」「Cisco 7606」も発表している。

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[高橋睦美 ,ITmedia]