MS日本法人がSTPPに独自の対策を追加,しかし「ツールキット」リリース日は未定

【国内記事】 2001.10.04

 マイクロソフトは10月4日,米国で発表された「Strategic Technology Protection Program」(STPP)を受け,さらに日本向けの拡張を加えた「ストラテジック テクノロジー プロテクションプログラム」日本版を提供する旨を発表した。

 STPPでは,セキュリティに関するサポート体制の強化を中心とする「Get Secure」と,セキュリティロールアップパッケージや修正プログラムの自動更新,プログラム開発工程の改善からなる,より長期的な対策「Stay Secure」という2つの方針が挙げられている。これは,マイクロソフトがワールドワイドに取り組む,共通のプログラムとなる。

 このSTPPの中には,日本法人が既に実施済みの対策も含まれている。たとえば,Code RedやNimdaが蔓延した時期には,同社は(速やかだったかどうかは別として)専用の臨時電話相談窓口を設けたほか,ウイルス対策ソフトベンダー各社と協力してWebサイトでの情報提供を強化した。また,これに先立ってセキュリティ関連情報をまとめた「ホームユーザー向け セキュリティ対策 早わかりガイド」も設置している。

 マイクロソフト日本法人ではこのSTPPとこれまでの対策・情報提供を下敷きに,改めて各種のセキュリティサポートを強化する方針だ。

パートナー各社との協力と日本語版ツールキットの提供

 日本法人が発表した「ストラテジック テクノロジー プロテクションプログラム」日本版の骨子は2つある。1つは,さまざまなパートナーと協力し,情報を交換/公開する体制を整えることだ。

 パートナーは3種類に大別される。まずハードウェアメーカーとの間では,セキュリティパッチやサービスパックを適用してからユーザーに供給するという体制を改めて確認し,マシンがより安全な状態でユーザーに届くようにする。

 2つめのウイルス対策ソフト提供メーカーとは,IISをはじめとする製品情報,セキュリティ情報を密接に交換していく。これにより,ウイルス対策ソフトメーカー側が,速やかに対策を取れる体制を後押しするという。

 最後はインターネットサービスプロバイダー(ISP)だ。マイクロソフトみずからも,Webサイトなどを通じてセキュリティ情報を提供するが,ISPと連携することにより,ユーザーに直接情報を提供できる体制を整える。

 日本版プログラムの特色のもう1つは,これまで単体のパッチやセキュリティロールアップパッケージ,サービスパック(SP)の形で提供されてきたさまざまなセキュリティパッチをまとめた「Microsoft Security Tool Kit」日本語版を提供することだ。

「これまでは,セキュリティ情報のページやTechUpdateなど,あちこちのページに必要なパッチが散らばっており,どのパッチが必要で,それらをどの順番で適用すればいいかが分かりにくかった。これをひとまとめにして提供することで,分かりやすい形でユーザーに提供する」(同社広報)としている。

 事実,Windows NT/2000プラットフォームにパッチを適用しようにも,OS向けのパッチ,IIS向けのパッチ,あるいはInternet Explorer用……とさまざまな種類がある。また,パッチを提供する順番を間違えれば,せっかく塞いだはずのセキュリティホールがまた復活してしまったり,悪くすればサーバそのものが不安定になることもある。

 Microsoft Security Tool Kit 日本語版は,こうした問題を解決するために提供されるものだ。ただ,せっかくのこのキットだが,リリース時期は「近日中」としか明らかにされていない。それでも,同社ではなるべく早期にリリースしていきたいとしている。

 また,キットの内容に付いても検討中だ。たとえば,Windows NT/2000,IIS 4/5とすべてのプラットフォームに適用できるものにするか,それぞれに分けて配布するか。媒体についても,すべてCD-ROMで配布するか,Windows Updateも活用するかなど,具体的な部分を煮詰めている段階という。

 1つだけ決まっているのは,キットの中にドキュメントを含めることだ。このドキュメントには,どのプラットフォームにどのパッチやSPが必要であり,どんな順番で適用していけばいいかをまとめていくという。これにより,アップデート時のユーザーの負担を減らす考えだ。

「ストラテジック テクノロジー プロテクションプログラム」協力会社
ハードウェアメーカー

沖電気工業,コンパックコンピュータ,ソニー,デルコンピュータ,東芝,日本アイ・ビー・エム,日本電気,日本ヒューレット・パッカード,日本ユニシス,日立製作所,富士通,三菱電機

ウイルス対策ソフト提供メーカー

コンピュータ・アソシエイツ,シマンテック,トレンドマイクロ,日本ネットワークアソシエイツ

インターネット サービス プロバイダー

NTTコミュニケーションズ,グローバルメディアオンライン,ソニーコミュニケーションネットワーク,ドリームネット,ニフティ,日本テレコム,日本電気,ぷららネットワークス

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[高橋睦美,ITmedia]