実業務に沿った電子申請の実現を――電子申請推進コンソーシアムが第2段階へ

【国内記事】2001.10.31

 電子申請推進コンソーシアムは10月31日,臨時総会を開催した。同コンソーシアムは行政機関における電子申請システムの早期実現を目指す任意団体。2000年4月に設立され,10月31日時点では,XMLやPKI関連のベンダー,通信キャリアやシステムインテグレータなど42社が会員となっている。

 電子申請推進コンソーシアムは今回の臨時総会を踏まえ,改めて電子申請システムの普及に向けた体制を整えた。これに伴い,青木宏之氏(日本法令代表取締役社長)が会長に就任している。

 同コンソーシアムはこれまで,電子申請文書に用いられるタグや申請に関するユーザーインタフェース,PKIをベースとするセキュリティといった技術的な観点から,製品評価や標準化,ガイドラインの作成を進めてきた。これらの成果を踏まえ,今後の取り組みを「Next Step」と位置づけ,実業務に沿った形の電子申請のあり方を探るという。

 この具体的な作業を行うため,同コンソーシアムでは新たに2つの委員会を設置した。1つは「代理申請検討委員会」で,司法書士,行政書士などの申請代行者と連携して活動していく。登記をはじめとするさまざまな電子申請作業をいっそう利用しやすい形にするための,技術的・法制的課題を検討するという。

来年初めからは実証実験に着手

 もう1つの「実証実験委員会」では,名称の通り,行政や申請代行者と連携しながら,電子申請サービスの実証実験に取り組む。

 既に,とある県庁からの申し出を受けて,電子申請サービス実証実験に向けた仕組み作りが進められているそうだ。この実験は2002年初めより開始される予定といい,これまで紙ベースで行われてきた各種申請・窓口業務をどのように電子化していくかの試金石となりそうだ。

 他にも,既に行政書士などによって申請代行が電子化されている申請業務について,オンライン化を行う実証実験などを検討している。こうした実験を通じ,電子システムのモデルシステムを構築,提案していく方針だ。

 実は,セキュリティや文書の電子化など,電子申請の実現に必要な要素技術については,ほぼ問題ないレベルに来ているとも言われる。課題は,実際の手続きやプロセスとの擦りあわせや,法制度との調整。いわば「実装」だ。

 実証実験委員会の委員長を務める青木政善氏(日立システムアンドサービス部長)も,「課題は2つあって,1つはさまざまな政令,自治体ごとの条例との調整だ。実証実験を行うことで,法律のどの部分を改正しなければならないのかを明らかにしていきたい。もう1つは,どのようにして利用者にとって使いやすいシステム,役に立つシステムを実現するかだ。そのために参加各社の技術をどう役立てるか,検討していきたい」と述べている。

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▼電子申請推進コンソーシアム

[高橋睦美 ,ITmedia]