JavaOne 2001 Japan基調講演:Javaの快進撃,企業の基幹から携帯電話まで広範に

【国内記事】2001.11.28

 11月28日,横浜パシフィコで「JavaOne 2001 Japan」が開幕した。オープニングの基調講演には,Java/XMLソフトウェア担当副社長兼ゼネラルマネジャーのリッチ・グリーン氏らが登場し,デスクトップPCから始まったJavaが今では企業の基幹から携帯電話やスマートカードに至るまで幅広く採用されているとした。

 1996年からカリフォルニア州サンフランシスコで毎年行われている同カンファレンスだが,米国外では初めての開催となる。米国から幾人かのエグゼクティブのほか,110人のJavaエキスパートが来日し,65を超えるテクニカルセッションが行われる。サンでは,30日までの3日間で5000人の参加者を見込んでいる。

 米国のJavaOneでもお馴染みのジョン・ゲイジ氏(サイエンスオフィス・チーフリサーチャー兼ディレクター)が横浜でもオープニングからホスト役を務め,「Javaを搭載した携帯電話が1000万台出荷されている日本こそデジタルイノベーションの中心」とし,日本開催の意義を強調している。

 ジョン・ゲイジからステージに引き上げられた日本法人の菅原敏明社長は,「携帯電話によるインターネットユーザーが4600万人に達し,PCによるインターネットユーザーを2000万人近く引き離している。日本はさまざまなデバイスによるインターネットの時代にひと足早く入った」と話した。

 また,かつて日本サンの社長を務めたジェイ・ピューリ氏もステージに上がり,携帯電話の加入者が1億2500万人に達し,チャイナモーバイルやチャイナユニコムがJavaサービスの実験を始めた中国などは,「20万人の開発者が不足する」とした。現在,ピューリ氏は,米サンで副社長としてアジア太平洋地域を統括しており,中国やインドにもJavaOne開催を広げていく計画を披露した。

 ピューリ氏はまた,JavaCardが台湾の健康保険カードに採用され,合計で2400万枚が使われることになることも明らかにしている。

 今回のJavaOne 2001 Japanでは,Java 2 Micro Edition(J2ME)やそれを搭載したJavaフォンが脚光を浴びているが,米サンでJavaとXMLソフトウェアを統括するリッチ・グリーン副社長は,Javaがエンタープライズ分野で広く使われていることをアピールすることも忘れなかった。

 グリーン氏は,「Javaは,セキュアでスケーラブルなアーキテクチャで,しかも書かれたアプリケーションはどこでも動く」とし,企業のシステムを柔軟に構築できるJavaのメリットを改めて紹介した。

「IT部門が1つのプラットフォームに閉じ込められることはなく,モーバイルデバイスからバックエンドまでエンドツーエンドをJavaで開発できる」(グリーン氏)

 主要なアプリケーションサーバはすべてJava 2 Enterprise Edition(J2EE)に準拠し,レガシーシステムやデータと新しいロジックを結びつける統合化のモデルとなっている。SAPもJ2EEを将来のアーキテクチャの基盤にすると発表したばかり。

「さあ,次のステップは,視野を広げ,コミュニティーに参加し,新しいJavaアプリケーションを書いてほしい」と,グリーン氏は日本のJavaデベロッパーに訴えた。

[浅井英二 ,ITmedia]