JavaOne 2001 Japan基調講演:サンCTOが強調,インターネットへの収れんとWebサービスの幕開け

【国内記事】2001.11.29

 パシフィコ横浜で開催されているJavaOne 2001 Japanの2日目,基調講演にサンでCTOを務めるグレッグ・パパドプラス氏が登場した。同氏は,今後のコンピューティング環境では,PDAや携帯電話だけでなく,照明器具や温度計なども含めた無数のデバイスがIPを持ち,「すべてのデバイスがインターネットプロトコルに収れんする」と話している。そして,インターネットをベースとするWebサービスで提供されるサービスが増えるとし,Webサービスに関する同社のソフトウェア構想「Sun ONE」をアピールしている。さらに,Webサービスをスムーズに使いこなすために不可欠となる認証についても触れている。

インターネットによるデバイスの統合を強調するパパドプラス氏

「大型コンピュータの時代以降,コンポーネントが分散化し,今度はインターネットがそれを再統合する」(パパドプラス氏)

 同氏はネットワークによる再統合の例として,ストレージを挙げている。80年代のローカルディスクだったストレージは,社内ネットワークを利用する分散環境を経て,次世代ではインターネット上で再び統合されるとする。このように,あらゆるデバイスがインターネットで統合される,というのがパパドプラス氏の講演の主旨となった。

 同氏によれば,マイクロソフトのWindows OSを典型例とするような,デベロッパーが開発したソフトウェアをCD-ROMに焼いて,なるべくたくさんのPCにインストールするというビジネスは,もはや過去のビジネスモデルだとする。

 今後は,ユーザーが満足するサービスを構築し,何百万という人たちにそれを利用してもらう,という形のビジネスになっていくとする。

 例として,Web上で航空券を予約すると,フライト日がWeb上の自分のスケジュール表に書き込まれるようなサービスが挙げられた。これは,XMLやSOAP,UDDIなどにより,航空券予約アプリケーションと,カレンダー管理アプリケーションが相互に対話するWebサービスで実現される。これは,マイクロソフトが各種のイベントでよく上映する.Net My Serviceのイメージビデオと似ている。

 そのサービスを構築する仕組みが,「Service On Demand」を掲げるサンのWebサービスである「Sun ONEであり,マイクロソフトの.Netだ」としている。しかし,パパドプラス氏は,Sun ONEがオープン性において.Netに優位性を持つと話している。

インターネット上での認証

 同氏は,インターネット上での認証の問題について,米アマゾンのWebサイトを話題に上げた。アマゾンのサイトは,アクセスすると,個人の属性などに応じた個人別のWeb情報が表示されるようになっている。

 しかし,サイトをよく見ると,「あなたがパパドプラス氏でない場合・・」という項目があるという。これは,アマゾンのWebサイトによる個人の特定が,クッキーを頼りにしたブラウザどまりであることを示している。

「最後にアクセスしたブラウザから得た情報を頼りに,アマゾンは“おそらくこの人だろう”と賭けにでるのだ」(パパドプラス氏)

 個人認証が実現しなければ,質の高いサービスの提供は不可能であるため,アイデンティティを引っ張る認証システムの構築が課題という。

 マイクロソフトは,Passportを既にもっているが,個人情報をすべてマイクロソフトに預けていいのか,という議論がある。認証に関して,サンは9月下旬に,「Liberty Alliance」プロジェクトを立ち上げている。

関連リンク

▼JavaOne 2001 Japan

▼サンマイクロシステムズ

[怒賀新也 ,ITmedia]