JavaOne 2001 Japan基調講演:開発者に向けたメッセージは「さらに積極的なイノベーションを」

【国内記事】2001.11.30

 JavaOne 2001 Japanも最終日を迎えた。最終日の基調講演の内容は,会場に集まった開発者に対する「Javaとともに,さらなる開発と革新を」というメッセージに尽きる。

 この講演は,米サン・マイクロシステムズのJavaソフトウェア開発担当バイスプレジデント,リチャード・グリーン氏が,国内外のパートナーを紹介し,ゲストスピーカーがそれぞれ,Javaをベースとした開発の成果を紹介する形で行われた。

 グリーン氏はこう呼びかける。「これまでの2日間で,何か新しいこと,新しい知識を学んだ人はどのくらいいますか?」

会場に呼びかけ,反応を見るグリーン氏

 そしてさらに「私がこのJavaOne 2001 Japanを通じて学んだのは,今,アプリケーションからサービスへの移行が始まっていること,そして,J2EEを要に,レガシーも新しいものもあらゆるものがつながり,エンドツーエンドのサービスが実現されること,それに,どのようなネットワーク環境やデバイスからもサービスを受けられる環境が,Javaを基盤にして実現されるということだ」と続けた。

 講演に登場したNEC,富士通といった国内の代表的なベンダーからは,エンドツーエンドの医療システムや,携帯電話向けのグラフィカルな開発環境が紹介された。

 興味深いのはイーシー・ワンのデモだ。同社は壇上で,それぞれ異なるベンダーが開発したコンポーネントを組み合わせ,受注から認証,決済,バックエンドで行われる在庫処理やメーカーへの発注といった一連の作業を行うショッピングサイトのサンプルを紹介した。

 グリーン氏はこれを「コンポーネント間の相互接続性を実証する例」と表現している。

 壇上ではさらに,初日に行われたJavaプログラミングコンテストの入賞者および作品の紹介や,米ネクステル,米スプリントPCSなど,Javaをベースにしたワイヤレスアプリケーションを開発しているパートナーによる,日本市場への期待などが語られた。

「ファイル操作を楽しくしたい」という意図で開発された3Dエクスプローラ。Javaプログラミングコンテストの入賞作の1つだ

 特に,スプリントPCSのポール・レディック氏はこのように語っている。「JavaOne 2001 Japanに足を運んだのは,日本や韓国の開発者が,さまざまなアプリケーションを海外に押し出し,輸出する機会があると考えたからだ」

 最後にグリーン氏は,まだ午後の部が残っているとしながらも,「日本におけるJavaOneはこれが1回目で,成功だったと思う。だが,これは終わりではない。JavaOneはこれからも続く」と語った。

 さらに同氏は,会場に向けて,エンドツーエンドのサービスの実現や,グローバルやスタンダードを念頭に置いた開発,そして,さらに積極的なイノベーションを,と呼びかけた。

「3月のJavaOne San Franciscoまで,もう2772時間しかない。次のJavaOneでは,ワイヤレスも含め,1万以上のJavaアプリケーションを見てみたいと思っている」(グリーン氏)

 そして最後に「トリ」として登場したジョン・ゲージ氏は,「先程リチャードが,“何か新しいことを学んだ人は?”と質問したとき,手を挙げていない人も何人かいたようだ。そうした人には,残されたあと7時間のうちに,ぜひ,何かを学んで欲しい」と語った。

「JavaOne San Franciscoで,またお目にかかろう」(ゲージ氏)

[高橋睦美 ,ITmedia]