Linux Column:今後のLinuxディストリビューションビジネスの方向性は?

【国内記事】2001.12.03

 先週,関西で行われたLinuxイベント「LinuxWest」に参加した。セミナーには,それなりの来場者が集まっていたが,展示会場はちょっと(かなり?)寂しい感じがした。Linuxビジネスそのものというより,マーケティング面での東京偏在が少し気になった。

 そんな中で「Vine Linux」を開発している「Project Vine」の面々がセミナーと合わせて出展しており,非インテルアーキテクチャのマシンを並べてのデモなど,なかなか面白い展示を行っていた。個人的には,PowerMacが余っているので「Vine Linux for PPC」が気になるところだが,それ以上に気になったのは彼らが独立して設立した「ヴァインカーブ」という会社だ。

 気になったらそのままにしておける性分でもないので,早速代表者である鈴木大輔氏にインタビュー(というか立ち話)してみた。以下が,そのときの一問一答だ。

びぎねっと 会社を設立してみてどう?

鈴木 まだ作ったばっかりだから(どうと言えるほどではないかな)。だけど,仕事は来てる。

びぎねっと どんな仕事?

鈴木 開発の仕事。ドライバとかね。

びぎねっと 会社としてVine Linuxをやるの?

鈴木 基本的にはVine LinuxはProject Vineとしてやる。会社でディストリビューションやろうとすると,いろいろと大変だから。もちろん,Vine Linuxをベースに何か開発してくれと仕事の依頼をうけたらやるけどね。

 同社の方針として,これまでの経験によるノウハウをベースにコンサルティングや開発などを中心にビジネスを行っていくという。Vine Linuxについては,会社概要の記述の順番でも一番最後だ。

 では,ほかのディストリビューションベンダーはどうだろうか? やはり各社とも,ディストリビューションのパッケージ製品を前面に押し立てているところは皆無だ。

 特に最近気になっているのは,オープンソースとプロプラエタリなソフトの融合という考え方だ。ある程度まではソースコードをオープンにするが,儲けどころはクローズドソースにして知的財産を守るというやり方だ。

 果たしてこのような手法が有効だろうか?

 筆者自身は若干懐疑的だ。そのやり方は,今までのプロプラエタリなやり方と基本的には何も変わってはいない。短期的にはビジネス上のメリットを享受できるかもしれないが,世の中の何をも変える力にはならないだろう。それはオープンソースではないし,オープンソースに依拠しなくてもよいやり方ではないだろうか。

 もうすぐ2001年も終わる。今一度,どうしてオープンソースなのかを考え直し,そしてそれを社会にどのように適応させていくかを考えていくべき時期がきているのかもしれない。社会的な必然性がなければ,オープンソースのムーブメントがここまで盛り上がることはなかったのではなかろうか?

 21世紀のコンピューターやソフトウェアは,お金儲けの道具ではなく,社会を変革するツールであって欲しいと思う。

[宮原 徹びぎねっと]