OOW 2001 San Francisco基調講演:「DBのクラスタ化率は3年以内に50%になる」とコンパックCEO

【海外記事】2001.12.03

 Oracle OpenWorld 2001 San Franciscoの最初のキーノートスピーカーとしてステージに招かれたのは,コンパックコンピュータのマイケル・カペラス会長兼CEOだった。

「新しい分散コンピューティングの世界」を描いてみせたコンパックのカペラスCEO

 今はヒューレット・パッカードとの合併で揺れているが,1999年にディジタルイクイップメント(DEC)を買収し,オラクルの盟友としての座を受け継いだのがコンパックだ。オラクルが今回のOracle OpenWorldでアピールするOracle9iのReal Application Cluster(RAC)機能も,1991年にDECのVAX Cluster上で動作するOracle 6.2を開発して以来,10年をかけて培ってきたものだ。

 カペラスCEOは,米国経済の後退やIT業界の大きな潮流を指摘したうえで,顧客の要求や主要な技術トレンドを紹介することから基調講演を始めた。IT業界では,コモディティ化が進み,革新的な技術に対する投資は縮小され,ROI(Return on Investment)重視という傾向が強まっている。必然的に顧客からは,複雑さを減らし,効率を高め,既存の資産を生かせることが要求される。

 コンパックはこうしたトレンドや顧客の要求を背景に,「新しい分散コンピューティングの世界」を描き,データセンターからアクセスデバイスまでのソリューションを提供する。

 インターネットによる爆発的なトランザクションの増加やリッチコンテントの増加は,多くの階層からなる新しい分散コンピューティングを生み出そうとしている。

 カペラス氏は,顧客は「アプリケーションとデータベースの統合」を求めているとし,サーバ群の中核として「データベース/アプリケーションサーバ」を据え,さらにバックエンドにデータストア/データマイニング,フロントエンドにはコンテント配信/Webサービスを配置する新しい多階層のインフラ構築を提案した。

ITユーティリティモデルに一歩近づく

 こうした新しいインフラの構築にあたって,彼はモーバイル,分散コンテント配信,ネットワークストレージと並んで,「クラスタリングとパラレルコンピューティング」を最も重要な技術だと紹介する。

 カペラス氏は,「インターネットとビジネスのグローバル化によって,3年以内に50%のデータベースがクラスタ化される」と予言する。コンパックでは,オラクルと共同で「Oracle9i RAC Certified Configurations」を提供している。あらかじめ決められた構成のWindows,Linux,UNIXサーバに,Oracle9iをプリインストールしておくことで,手間なく短期間でクラスタシステムを構築できるというものだ。

 この日は,コンパックのAlphaServerとOracle9i RACを採用したオーストラリアン鉄道とフリーマーケッツが,こうした構成済みでテスト済みのシステムを利用することで,いずれも1週間以内に稼動させることができたと発表している。

 複雑だった企業のシステムも,コンポーネントの標準化が進めば,「ITユーティリティモデル」に一歩近づける。必要なときに,必要な場所に,必要な方法でサーバやストレージを配備できる「ダイナミックデータセンター」が現実味を帯びてきた。

 カペラス氏は,「クラスタこそが柔軟で,複雑さを隠してくれ,またシステムの信頼性を高めてくれる技術だ」と話す。

 顧客に関するデータにリアルタイムでアクセスでき,24時間×7日の連続稼動と必要に応じたスケールが実現できれば,「データセンターはプロフィットセンター化も可能だ」(カペラス氏)

[浅井英二 ,ITmedia]