OOW 2001 San Francisco基調講演:「Let's RAC!」とインテルCEO,オラクルと共にマクロコンピューティングを推進

【海外記事】2001.12.03

 Oracle OpenWorld 2001 San Franciscoの初日は,事実上の「インテルデー」となった。午前のマイケル・カペラス コンパックCEOに続き,午後の基調講演にはインテルの社長兼CEO,クレイグ・バレット氏が登場した。ドットコム企業の相次ぐ倒産や米国経済の後退にインターネット革命を疑問視する声もあるが,バレットCEOは,「自動車業界もそうだったが,一時の異常な熱気が収まったあと,本当の製品や実際に利益を生むビジネスが現われた」とし,そうした悲観論を一蹴した。

クイーンの「We Will Rock You」の大合唱に乗って登場したバレットCEO。もちろんそのココロは「We Will “RAC” Your System」だ

「インターネットコンピューティングの輝かしい時代は10年,20年,30年続く」と強気で押すバレット氏のコメントが,ここOpenWorldでも聞かれた。

 バレット氏は,基調講演のほとんどの時間を「マクロプロセッシング」のために費やした。マクロプロセッシングは,システムを構築し,配備する際の原則としてインテルが企業に売り込んでいるコンセプト。標準に準拠したモジュール,つまりビルディングブロックを組み合わせてシステム構築・配備しようというもの。

 対立軸として「プロプライアタリ」があるのだが,「(それについて)ここでは多くを話さない。それは(サンの)スコット・マクネリに任せよう」と会場を沸かせた。サーバ市場を支配しているIBMのPowerPCプロセッサやサンのSPARCプロセッサに肩を並べられるまで力を付けてきたインテルの自信だろうか。

FAAやCERNでの実績をアピール

 しかし,パソコンからデータセンターへ領域を拡大しつつあるインテルに対して「マクロプロセッシングで企業システムを動かしていけるのか?」という疑問は常に付いて回る。

 バレット氏は,オラクルやデルコンピュータといったハイテク企業が果敢にマクロプロセッシングを実践している例や,FAA(米国航空局)が1日5万に上る飛行をトラッキングするというミッションクリティカルなシステムに採用している実例を挙げ,インテルアーキテクチャの成長ぶりをアピールした。

 またバレット氏は,CERN(欧州合同原子核研究所)が,ペタバイト級のデータを処理するシステムが,LinuxとIA-64の組み合わせで構築されようとしていることも明らかにした。

 CERNでは粒子加速器を使ってさまざまな原子核を超高速衝突させ,その反応を観測しているが,膨大な量のデータの解析が必要となる。「Large Hadron Collider」と呼ばれるプロジェクトでは,ペタバイト級のデータが発生し,たとえていえば,2000万個の干草の山からたった1本の針を探すような解析作業に直面しているという。CERNでは,2006年には毎年扱うデータの量は10ペタバイトに達すると予測している。

 CERNでは,10台のデュアルプロセッサIA-64サーバをOracle9i Real Application Cluster(RAC)でクラスタ化し,100テラバイト規模のデータベースを構築しようとしている。これが実現すれば,LinuxボックスとOracle9i RACというビルディングブロックを組み合わせることによって,数ペタバイトのデータを処理できるという証になるはずだ。

「標準ベースでビルディングブロック化し,さらにオラクルのようなパートナーらと協力して,幾つものソリューションとして市場に提供していくことが重要だ」とバレット氏は話した。

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[浅井英二 ,ITmedia]