OOW 2001 San Francisco基調講演:完全なデータ統合を旗印に磨かれるOracle9i

【海外記事】2001.12.03

 12月3日,「Oracle OpenWorld 2001」(OOW 2001)の初日のキーノートに,オラクルのサーバ技術担当執行副社長,チャック・ロズワット氏が登場し,Oracle 9iが24時間×365日,ノンストップで稼動するアーキテクチャを備えた世界で唯一のデータベースであることや,その拡張性,セキュリティ機能の充実に向かうビジョンを明らかにした。

「あらゆるデータを統合管理することが大切」とチャック・ロズワット氏

 講演の冒頭でロズワット氏は,「Oracle9i DataBase/Application Serverと,これらをプラットフォームとして稼動するアプリケーションをどのように使うかが大切」と会場に語りかけ,「アプリケーション開発からWebサイトの管理までを完全に統合できる製品はOracle9iだけ」と話す。

 OOW 2001の2日目となる4日に正式発表が予定されているOracle9i Application Server(9iAS)のリリース2で,セキュリティレベルやコンソールを統合したことや,J2EE 1.3に準拠したこと,またそれによってインターネットベースのアプリケーションを使いやすくしたことにも触れ,「Unbreakable」ブランドで展開するOracle9iがより良い製品へと高められていることをアピールした。

 24時間×365日,ノンストップで稼動する完璧なソリューションを目指すOracle9i。ロズワット氏の講演は,アーキテクチャそのものだけでなく,スケーラビリティ,データロスを防ぐ仕組みを含めたセキュリティ,データ統合と多岐に及ぶ。

 その中で最も注目すべきは,データベースに蓄積したデータを分析し,エンドユーザーに見せるまでをカバーするアーキテクチャを,すべてオラクル一色で染め上げられるようにしことだ。一般に,データベースからステージングサーバを通して,企業が蓄積したデータをデータウェアハウスで統合し,そこベースとしてデータを分析するアーキテクチャが採用されている。

 同氏によれば,Oracle9iを利用すれば,そのようなレイヤー構成が必要なくなる。ごく一般のアプリケーションが蓄積するデータを,すべて統合管理し,そのまま高度なビジネスインテリジェンスまで実現できるようになるという。

「われわれは,数テラバイト級のデータウェアハウスを構築した実績がある。Oracle9iによって,データベース,XMLリポジトリ,そして電子メールまで,すべて統合管理できるのだ」(ロズワット氏)

ユーザー企業も壇上へ

 ロズワット氏は,講演中に,アメリカン・エアライン(AA)や図書館システム構築企業であるOCLCなどのユーザー企業を壇上に招き,彼らが利用しているOracle9i RAC(Real Application Clusters)システムを語らせた。AAの事例は,主にマイレージプログラムに加入している顧客向けシステムで,いくらユーザー数が増えてもOracle9i RACが別のノードにフェールオーバーできるスケーラビリティの充実が明らかにされた。一方のOCLCは,82カ国にわたって4万の図書館を接続し,432カ国語をサポートするシステムを構築している。

 XMLスキーマをグラフィカルに表示させ,ビジュアルにデータを定義するためのプロジェクトも紹介された。これは,同社がXMLにフォーカスする姿勢を示したものであり,同氏がB2Bの統合を実現するための第1ステップと位置付けるものだ。

「真のB2Bを可能にするためには,XMLデータも統合管理しなければならない。オラクルだけが,あらゆるデータを統合し,容易にクエリーをかけるための技術を提供できる企業だ」(ロズワット氏)

 そのほか同氏は,オラクルユーザーであるベリサインが,RAC技術を利用した結果,システムのダウンタイムを全く発生させなかったことも明らかにした。

 さらに同社は,TCO(Total Cost of Ownership)の削減も目指す。

「9iを利用するDBAのパフォーマンスが40%向上したというデータがある。スタッフの生産性を向上させ,その結果としてTCOを削減できる」(同氏)

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▼日本オラクル

[井津元由比古 ,ITmedia]