OOW 2001 San Francisco基調講演:ストレージの巨人,EMC会長はディザスターリカバリーの大切さを説く

【海外記事】2001.12.04

 Oracle OpenWorld 2001 San Franciscoの2日目となる12月4日,EMCのマイケル・ラトガース会長が午前の基調講演に登場した。エンタープライズストレージの巨人であるEMCは,4年前のOracle OpenWorldでOracle Parallel Serverと同社のストレージ技術を組み合わせたフェールオーバーソリューションをデモするなどパートナーとしての絆は固い。

EMCを今日までに成長させたラトガース会長

 ジョー・トゥッチ氏にCEOの座は譲ったものの,「ストレージヒル」と呼ばれるまでに同社を成長させたラトガース会長の存在感は依然として大きい。10月末にEMCが発表した「AutoIS」(Automated Information Storage)戦略は,人手による作業を減らして自動化することで,ストレージ管理の複雑さを隠し,管理コストを大幅に引き下げ,EMCをさらに新しい領域へと導くものだ。

「自動化なくして農業は,60億人の食料をまかなえなかった。電話網も同じだ」とラトガース会長。EMCがお手本と考える電話網と同様の使い勝手や管理をストレージの世界にも持ち込みたいという。

 1995年にメインフレームやUNIX,Windows NT/2000などさまざまなサーバに接続できるSymmetrixを発表したEMCは,1999年にE-Infrastructure構想を打ち出し,SANやNASあるいは直接サーバに接続されたストレージを統合できるようにした。AutoIS戦略の下に発表された一連のソフトウェア製品群を使えば,対象はさらに他社のストレージ製品やスイッチまで拡大され,レプリケーションなどの作業も自動化されるという。

 例えば,「WideSky」と呼ばれるミドルウェアを介して「StorageScope」は,サーバやSANにつながっているさまざまなストレージアセットを調べ,特定のビジネスプロセスの観点から眺めるられるようにしてくれるという具合だ。

 こうすることでEMCでは,1人の管理者が対応できるストレージを1995年の1テラバイトからAutoISでは数百テラバイトまで引き上げることに成功している。

9月11日以降企業は?

 ラトガース会長は,9月11日の米国同時多発テロ以来,「人,ファシリティ,そして情報」を守ることに企業経営者たちの関心が集まっているとし,ディザスターリカバリー(災害時復旧対策)にも多くの時間を割いた。

 InformationWeek誌の調査を引用し,「あの悲劇以降,半数以上の企業が災害時にもビジネスを続けられるよう投資を増やすと回答しているが,それでも4割近くは企業全体にその努力を拡大できていない」とラトガース氏。

 ラトガース氏は,EMCの顧客であるドイツのコメルツ銀行が投資に見合う恩恵を受け,ビジネスが継続できたことを紹介した。同銀行は,同時多発テロによって被害を受けながらも,事前にバックアップシステムを改善していたことで,わずかな時間システムを止めただけで,再びビジネスを継続できた。Two World Financial Centerの33階にオフィスを構えていた同銀行は,それまでのテープバックアップに代え,EMCのSymmetrixとSRDF(Symmetrix Remote Data Facility)ソフトウェアを導入していたという。

「ミッションクリティカルは何もトランザクションだけではない。その定義はあらゆる業務やメッセージングにも拡大された」とし,今回のOracle OpenWorldのメッセージでもある「Unbreakable」(不死身)の重要性を強調した。

関連リンク

▼EMC

[浅井英二 ,ITmedia]