OOW 2001 San Francisco基調講演:反IBM,反マイクロソフトで共闘するサンとオラクル

【海外記事】2001.12.06

 Oracle OpenWorld 2001 San Franciscoの最終日となった12月6日,マーク・ジャービスCMO(最高マーケティング責任者)の「今日はサンデー!」という恒例のジョークでステージに引き上げられたのは,盟友サン・マイクロシステムズのスコット・マクネリCEOだった。

 サンのSolarisは,Oracleの開発プラットフォームであり,この日もSun Fire 15Kサーバ,Sun StorEdgeストレージ,そしてOralce9i Real Application Clusters(RAC)の組み合わせによるベストプラクティスを協力して顧客に提供していくことが明らかにされた。両社ではSun Fire 15KとOralce9i RACはIBMメインフレームを超える高い可用性を実現し,共通の敵であるIBMに対して両社がタッグを組んだ格好だ。

期待された「トップ10リスト」はなかったが聴衆を何度も沸かせたマクネリCEO

 事実上の「インテルデー」となった初日のクレイグ・バレットCEOの発言を強く意識したのか,ウインテルが依然として32ビットコンピューティングに過ぎないとし,既に3世代目となる64ビットのSPARCプロセッサの実績を強調することから基調講演を始めた。

「われわれがクローズだって?」(マクネリ氏)

 マクネリ氏は,SPARCプロセッサ,Solaris,そしてさまざまなミドルウェア群やiPlanetサーバ製品がすべてオープンで標準のインタフェースに準拠している,とバレット氏に反撃した。

 次世代の64ビットプロセッサをインテルに依存するヒューレット・パッカードとコンパックに対しても「彼らはコンピュータビジネスから撤退し,インテルのリセラーになる。ジョークじゃない。彼らが発表したことだ」と,容赦なくこき下ろした。

 またマクネリ氏は,マイクロソフトの.Netプラットフォームは,ほかに選択の余地がない「インテグレーテッド」だが,サンのソフトウェアスタックは「インテグレータブル」で,標準に準拠したほかの製品と個々に置き換えることができるとした。

「IBM? アンインテグレータブル(統合不可能)。彼らは複雑さが友人だ」(マクネリ氏)

AOLとアメックスがLiberty Alliance支持

 同時多発テロ以降,セキュリティに対する関心の高まりを受け,マクネリ氏は,スマートカードによる個人認証の重要性も説いた。

 ステージではJavaCardを採用した航空会社のスマートカードと指紋照合によるセキュリティチェックのデモが行われた。マクネリ氏は問題なかったが,「ビル・ゲイツさん,独占主義者は搭乗できません」と拒否され,会場を沸かせた。

 今週,AOLタイムワーナーとアメリカンエキスプレスが相次いで,「Liberty Alliance」プロジェクトに参加を表明したのを受け,マクネリ氏は,インターネット上の認証を簡素化する同プロジェクトにも多くの時間を割いた。

 顧客に関する情報を他人に管理させたい企業はいない。サンが提唱したLiberty Allianceは,こうした企業にとって大切な資産を自らの管理下で維持しつつ,提携関係を結んだ企業同士が顧客の情報を共有できるようにしようというもの。例えば,提携関係にある航空会社,レンタカー会社,ホテルのサイトが互いに顧客情報を共有して,シングルサインオンを実現しようというわけだ。

「マイクロソフトは,.Netパスポートに顧客情報を差し出させ,しかもアクセスするのにチャージしようとしている」とマクネリ氏。

 AOLとアメックスによる支持は,サンにとって追い風だ。

[浅井英二 ,ITmedia]