OOW 2001 San Francisco基調講演:先端標準技術のサポートと最速のスピードをうたう9iAS

【海外記事】2001.12.06

 12月6日,「Oracle OpenWorld 2001」の最後のキーノートに,Oracle9i Application Server(9iAS)開発担当のトップ,トーマス・クリアン副社長が登場した。

「今日が公式にRelease 2を発表する日」とクリアン氏

 講演の冒頭でクリアン氏が,「2日目にわれわれが9iAS Release 2をリリースすることを発表したが,これからのセッションで,9iASを公式に発表することになる」と,落ち着いた口調で語りかけると,この4日間ですっかりオラクルに洗脳された聴衆から自然と拍手が沸き起こった。

 インターネットに向かう技術トレンドからゆっくりと話し始めた同氏によれば,オラクルのビジョンは至ってシンプル。たったの2点だ。

「データベースサーバであらゆるデータを蓄積し,より良い情報を安く提供する。そして,アプリケーションサーバであらゆるアプリケーションを統合し,より安定した稼働環境を安く提供すること」(同氏)

 Webサービス,インテグレーション,ポータル構築,ワイヤレス対応,ビジネスインテリジェンス,J2EEという6つの切り口で構築された9iASは,これらを集約することで,「Unbreakable」なアプリケーションサーバとなった。

 また9iASは,先端の技術をサポートする。J2EEでは,最新のバージョン1.3に準拠し,JSP 1.2,Servlet 2.3,EJB 2.0に対応。Webサービスは,SOAP 1.1,WSDL 1.0,UDDI 1.0レジストリをサポートする。一方で,CORBAやEDIもサポートするため,「ビジネスロジックを1つ書くだけで,データをやり取りするための環境を自在に構築できる」(同氏)。

 ミドルウェアとして,企業内で利用するあらゆるアプリケーションを集約する拠点にもなる。エンタープライズインテグレーションで主なアプリやプロトコルを一元管理し,それをポータルやワイヤレスに配信することになる。トランザクションデータのマイニング/レポーティングを行うのも9iASの役割で,これはビジネスインテリジェンスが受け持つ。

「そして,9iASは,この世で最も速いアプリケーションサーバだ。Oracleデータベースならもちろんだが,ほかのデータベースを基盤としても高速に稼動する。最速のWebサービスサーバであり,最速に導入できる」(クリアン氏)

 さまざまなグラフを見せながら,IBM WebSphereやBEA WebLogicよりいかに高速で,その記録がまだ破られていないことを強調した同氏は,エリソンCEOのように激しく口撃することはなかったものの,.Netなど全く相手にならない事実にも淡々と触れた。

 そして,Webブラウザから容易に管理できることを示したデモも秀逸だった。9iASでXMLメッセージを生成し,パートナー企業に送ることで,すぐに両者間でWebサービスが実現する。しかし,レスポンスタイムが遅くなるというトラブルが発生してしまう。これをフィックスするのに,管理者はWebブラウザで問題のありそうな部分をドリルダウンしていき,9iASがリコメンドした若干の修正をクリックしてソースコードに取り込むだけで,見事に問題が解消された。この一連の流れで,コードを書く作業は一切発生していない。

 最後にキャッシング,スケーラビリティ,可用性,セキュリティなど,その先進性についてさらりと紹介した同氏は,「9iASには,250の新機能が搭載されたが,そんなことより“シンプル”の一言がわれわれのメッセージだ」と話している。

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[井津元由比古 ,ITmedia]