統合情報アーキテクチャでインスタンスの壁を打ち破るOracle E-Business Suite 11i

【海外記事】2001.12.06

「Oracle OpenWorld 2001」の実質的な最終日となった12月6日,アプリケーション分野でライバルとなる幾つかの企業も軒を連ねた展示会場がクローズするのを待っていたかのように,キーノート会場にアプリケーション開発担当執行副社長,ロン・ホール氏が登場し,「Oracle E-Business Suite 11i」のアーキテクチャの先進性をうたった。

「アプリケーション連携はキットのアプローチ」とホール氏

 ホール氏は,「ビジネスの一部分しかカバーしない“キット”とエンタープライズアプリケーションスイートの戦いは,スイートの勝利に終わった。これからは,キットを組み合わせたスイートとUnified Information Architectureの戦いになるだろう」と話す。

 Unified Information Architectureが,今回オラクルが打ち出してきた新しいメッセージ。強力なOracle9iを基盤とすることで,あらゆるアプリケーションが同じデータベースにアクセスすることになり,その結果としていわゆる「インスタンスの壁」を打ち破ろうというビジョンだ。

 中でもビジネスインテリジェンス(BI)機能は注目に値する。企業情報ポータルを使って,経営陣にリアルタイムに企業全体のビジネス状況サマリを報告したり,チームのトップにはチームの実績をレポート,そしてユーザー個人にはそれぞれのKPIを設定して,パーソナライズされた進捗状況を配信することも可能だ。

「われわれのデータモデルはシンプルで,さらに,とてつもなく効果的だ。あらゆるアプリケーションに蓄積された情報を統合管理することで,完全なBIを実現できる」(同氏)

 オラクルのアプリケーション製品群は容易にカスタマイズできることが大きなメリットで,「Oracleデータベースのためのアプリケーション開発環境」というイメージもあった。しかしホール氏は,ノンカスタマイズで導入してほしいと呼びかける。

 同氏は,FlexFieldやワークフローを最大限に使いこなせば,カスタマイズしなくても済むようになり,エクステンション(アドオン)で足りない機能を補わせる方法が理想という。たとえエクステンションしても,それとアプリケーションを連携させるわけではないため,マイグレーションに大きく差し障らないこともメリットになる。

 機能面では,ハイテクや自動車,自治体向けなど,さまざまなバーチカルソリューションが用意されているほか,「企業のビジネスをすべて最適化できるように,たくさんのモジュールを用意した」(同氏)。Oracle E-Business Suite 11i.6 ERPを11月に,100%Javaの11i.6 CRMを先ごろ出荷した現在,29カ国語/多通貨にも対応している。

 そのほか,ワイヤレスデバイス対応や,ユーザーインタフェースをより使いやすいようにするHTMLの改変,レポートのExcel化も可能という。

「さまざまなベンダーのソフトウェアを組み合わせるより,こちらが安いことは明白だろう。また,小人数の運用担当者で管理できることもコスト削減に役立つ。キットのアプローチに過ぎないアプリケーション連携型スイートから,本来の意味でのスイートにシフトしてほしい」(ホール氏)

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[井津元由比古 ,ITmedia]