Interview:アウトソーシングビジネスにも乗り出し,IBMと競合するオラクル
【海外記事】 | 2001.12.06 |
「Oracle OpenWorld 2001」の仕切りでジョークを連発し,聴衆を大いに楽しませたのがマーク・ジャービスCMOだった。持ち前の軽口でわれわれがインタビュールームに入るや,いきなり鯉の話を持ち出してきた。そんな親しみやすい彼だが,オラクルのマーケティングを統括する責任者。「Unberakable」ブランドとアプリケーション戦略について話を聞いた。
私は鯉が好きなのですが,せっかくいい鯉を買ってもアライグマが食べてしまうので困っています…… |
ZDNet Oracle9iのブランドとしてUnbreakableという強烈なメッセージを選んだ背景について背景には何があったのでしょうか。
ジャービス ビジネスマンにクラスタリングの話をしても分かりませんよね。そこで,ラリー(エリソンCEO)と私が知恵を絞っていたのですが,ラリーが「じゃあUnbreakableでどうだ?」と言ってきたのです。そこで私がビジネスマンを相手に聞いてみたところ,彼らはとても魅力的と感じてくれたので,これに決めました。
まずUnbreakableブランドでハートをつかみ,それから意思決定権者と技術の話をできるようになるでしょう。これは,オラクルが技術をビジネスの言葉で語った初めてのメッセージですし,自信たっぷりな,いかにもオラクルらしいブランドでしょう。
このブランドについては,ラリーも私もとても気に入っていますが,データベース開発者には,あんまり受けが良くないですね。彼らは保守的ですから(笑)。
ZDNet Unbreakableでデータベースとアプリケーションサーバのメッセージをリニューアルしましたが,今後アプリケーションのメッセージも変わるのでしょうか?
ジャービス 今のところ,変える予定はありません。Oracle E-Business Suiteのメッセージは,「Complere Integrate」として引き続きプロモーションしていきます。1月にE-Business Suite 11iのバージョン2をリリースする予定ですが,企業の中でどうやれば情報を効率的に使えのかをビジネスマンに対して伝えられる「Unified Information Architecture」にフォーカスしたいと考えています。
ただ,あとわずかながら時間がありますから,Unified Information Architecture以上のメッセージを出すかも知れませんね。より良いメッセージを出せるように,ラリーにも進言しています。
ZDNet アウトソースビジネスにも乗り出すそうですね。
ジャービス オラクルにとって,最も新しいビジネスです。これは,企業のIT部門をより効率的にするためのものですから,われわれは完全にIBMと競合することになります。かつてソフトウェアで競合してはいましたが,今後はコンサルティングでも競合します。
ただ,彼らとはアウトソースの考え方が全く異なります。IBMが運用を丸受けするのに対して,われわれはシステムをアップグレードし続けるというアプローチを取ります。顧客の収益を高めてもらうために,ITコストを確実に下げるとことも請け負います。例えば,1億ドルのIT予算を組む企業には,「われわれに任せてもらえば,9500万ドルに下げますよ」と売り込むのです。そして,毎年5%づつ運用のための費用をディスカウントしていきます。
さっきの例では,IBMの場合,ずっと1億ドルのままですよね。彼らに任せてもコストを削減することはできません。
ZDNet ほかのアプリケーションベンダーの製品を利用している企業のアウトソースを受けた場合,すべてオラクルに乗せ変えてしまうのでしょうか?
ジャービス 企業内に,SAP,ピープルソフト,シーベル,i2,アリバ……とさまざまなアプリケーションが混在しているケースがほとんどです。これらをOracle E-Business Suiteに置き換えると,1つのデータベースですべてを管理できるようになります。実際にわれわれ自身,3年間でITコストを6億ドルから2億7300万ドルに削減しました。このノウハウも適用していきます。
例えばピープルソフトの顧客がどうしてもPeopleSoftの人事管理を使いたいと言ってきた場合,「では,PeopleSoftを使ってナンバーワンの営業マンがだれか教えてください」と聞きます。営業マンのデータは,シーベルのデータベースにあるので,彼は答えに窮するでしょう。われわれにアウトソースしてもらえば,企業はデータを一元管理するメリットも享受できるようになるわけです。
ZDNet そのサービスは,かなりの大企業向けですね。中小企業向けにサービスを提供する計画はありますか。
ジャービス 「Small Business Suite」という製品を提供しているのですが,今は米国とカナダだけでリリースしています。日本でも出荷する予定ですが,今のところ時期は未定です。税制など,さまざまな側面を調査してから提供したいと考えています。
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[聞き手:浅井英二&井津元由比古 ,ITmedia]