IBM,NEC,日立,富士通の4社,エンタープライズLinuxの障害調査機能を強化

【国内記事】2002.01.22

 米IBM,NEC,日立製作所,富士通の4社は1月22日,協業によりエンタープライズLinuxの障害調査機能を強化したことを発表した。同発表は,2001年5月30日に発表されたエンタープライズLinuxの機能強化に関する協業に基づき行われたもの。4社協業における最初の成果として,Linux OSの障害調査に関する2つの成果を,オープンソースコミュニティーに提案したという。

 1つ目の成果が,「Linuxカーネルクラッシュダンプ」(LKCD)の機能強化。LKCDは,米SGIによって開発され,オープンソースコミュニティーによって拡張されてきた機能。OSの障害調査のための,メモリダンプ採取機能と,ダンプ解析機能で構成されている。今回4社は,ミッションクリティカルシステムに対するノウハウを生かし,LKCDの信頼性の向上と問題解析の効率化を実現している。

 これにより,問題の特定や原因究明がより迅速に行えるようになるほか,大容量メモリシステムにおいても高速で確実なメモリダンプを取得することが可能。採取されたメモリダンプから,必要な情報を容易に抽出する機能も,半年以内にコミュニティーに提案できる予定という。

 2つ目の成果は,「Linuxカーネル状態トレーサ」(LKST)を開発し,オープンソースとして公開したこと。LKSTは,カーネル内のさまざまな情報を記録することで,システムの障害発生時に障害の直接原因の解明を支援する。また,情報の取得および記録に伴うオーバヘッドが少なく,容易なカーネルへの組み込みにより,実稼動中のシステムにも適用が可能という。

 これら2つの成果により,システムに障害が発生しても,根本的な原因を迅速に解明し,再発防止に有効な対策を講じることが可能。ミッションクリティカルシステムに適した信頼性の高いLinuxシステムが構築できる。

 今後4社は,Linuxの信頼性向上に必要な機能を開発することで,エンタープライズ分野でのLinuxの普及に貢献していく計画という。また,今回の成果をはじめ,エンタープライズLinuxの機能強化に向け,Linuxディストリビューター各社とも協力していくとしている。

関連リンク

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