Lotusphere 2002基調講演:IBMとの統合をテコにさらに前進を約束するロータス
【海外記事】 | 2002.01.28 |
今年で9回を数える「Lotusphere 2002 Orlando」カンファレンスが米国時間の1月28日,フロリダ州オーランドで開幕した。まだ参加者数の公式なアナウンスはないが,オープニングの基調講演を見るかぎり,昨年に劣らぬ規模で,1万人近いカスタマー,デベロッパー,およびビジネスパートナーらがウォルト・ディズニー・ワールドに集まった。
オープニングの基調講演には前回までと同様,アル・ゾラー氏が登場した。ロータスデベロップメントの社長兼CEOからIBMソフトウェアグループでロータスソフトウェア部門を率いるゼネラルマネジャーへとタイトルこそ変わったものの,「Notes/Domino 6」プレリリース版の出荷をはじめとする多くの重要な発表を行い,ロータスは引き続きコラボレーションのリーダーとして,顧客のTCO削減や「e-ワークプレイス」技術の提供に力を注いでいくことを約束した。
IBMソフトウェアグループ,ロータスソフトウェア部門のGMとなったゾラー氏 |
またゾラー氏は,「さまざまなアプリケーションにコラボレーション機能が求められている」とし,将来のプラットフォームとしてJ2EEスタンダードを採用することも明らかにしている。これにより,IBM WebSphere Application Serverで動作するアプリケーションからロータスのコラボレーションやナレッジディスカバリー,あるいはe-ラーニングといったJ2EEベースのモジュールを呼び出し,統合できるようになるという。
J2EEによって,ITマネジャーはインフラを簡素化でき,またデベロッパーはテスト済みの機能を組み合わせてコラボレーションのためのアプリケーションを開発できる。ゾラー氏は,これを「コラボレーションの“解放”」と表現している。
ソフトウェアグループの傘下で,Lotus,WebSphere,DB2,およびTivoliという4つのソフトウェアブランドの緊密な統合を進めているIBMはこの日,Lotusphereの開幕に合わせ,「Tivoli server health management and planning toolset for IBM Louts Domino 6」を発表している。同ツールセットは,Lotus Domino Administratorとシームレスに連携し,パフォーマンス分析やサービスレベルの維持管理の機能を提供してくれるという。
ゾラー氏は,優れた技術がIBMには数多くあり,ピープル(人)を軸にした使いやすいソフトウェアに取り込んで提供するのもロータスの役割だとしている。ステージではIBMリサーチが開発を進めているメッセージングコラボレーションの新しいコンセプトも披露された。
ゾラー氏が「すぐにではないが,近い将来,Notes/Dominoに取り込まれる」としたコンセプトデモでは,電子メールのInboxがインタフェースの中心に据えられている。顧客からの問い合わせのメールを開くと,関連する記事がすぐに参照できたり,承認ワークフローでは金額を参照してすぐに処理できるよう「承認」ボタンをすぐ近くに配置するなど,使いやすさの改善を狙っている。
また,自分との関係の度合いを円形のチャート上に分かりやすく表示してくれるインタフェースや,e-ミーティングに特定分野の知識が不足していることをアラートしてくれ,さらに適材の専門家を素早く見つけてくれる機能には,会場に詰め掛けた参加者たちからも拍手が起こった。
昨年秋,1995年の買収から6年以上の歳月をかけ,IBMはようやく組織的にもロータスデベロップメントの統合を完了した。ゾラー氏は,IBMとの関係をポジティブに捉え,コラボレーション分野のリーダーとして,さらに前進することをカスタマーやパートナーらに約束した。
事前に「Lotusphereの開催は今年が最後?」との怪情報も流れたが,ゾラー氏は「来年,またここに集まろう」と噂を一蹴している。
コラボレーションのリーダー
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Notes/Domin: 世界シェアは金額で50%,ユーザーでは39% * 2000年 IDCによる調査(2001年6月発行) Sametim: 世界シェアトップ33%,企業ユーザーは300万人 QuickPlace:競合製品の8倍の伸びで新規ユーザーを獲得 IBM Mindspan Solutions:55カ国2000社以上,ユーザーは300万人 |
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[浅井英二 ,ITmedia]