Linux Column:「NYは盛り上がっているのだろうか」
【国内記事】 | 2002.2.06 |
今週は,ニューヨークで「LinuxWorld」が開催されている。過去6回,米国で開催されたLinuxWorldには欠かさず参加してきた筆者だが,今回は日本でお留守番だ。
理由は幾つかある。外せない仕事が入っている(最近,Linuxスクールの講師を始めたのだ。夜間クラスで週2回。半年間の長丁場だ)のが1つ。そしてもう1つが,今回はあまりニュースになりそうなネタが無いだろうという読みだ。
オープンソースモデルで開発されているLinuxは,このような商用イベントに合わせて新しいリリースを行う,などという習慣とは無縁だ。だから,別に新しいニュースが無いことは,Linuxにとっては悪いことではない。
それよりも,大幅な修正が行われて今まで覚えたことが無駄になるよりも,こまめなバグフィックスとリリースアップで安定性を高めてくれた方がマシだろう。そういう意味で,「イベント」ドリブンでバージョンアップを繰り返すのは「悪しき習慣」なのだということを,そろそろ利用者であるユーザーが気がついて抗議しなくてはいけないのではないだろうか。
今のように,開発側のゴテゴテととってつけたような機能追加とエンバグ(機能追加やバグフィックスをしようとするたびにその行為がバグを生み出すこと)の悪循環から逃れなくてはならないのだ。
そうは言っても,イベントはまたお祭りであるから,盛り上がりにかけるのも寂しい。ニュースを拾ってみると,各社のトップがLinuxへのコミットメントを約束しているようだ。ただ毎度ながら,コミットするのはいいが,「何をどうしてくれるの?」というのが欠けているのも特徴だろう。
大体において,「Linuxはrobust(安定している)だ」「LinuxはTCOを削減する」という話をするが,「Linux」を「○○(スピーカーの自社製品)」に置き換えても変わりの無いようなプレゼンテーションが多い。いや,これは正確ではない。「多かった」だ。
なんとなく,以前のLinuxWorldのインテルの基調講演に,ちょっとだけのゲストとして招かれたデモが今や台風の目になっているような,そんなちょっとしたことがもし見れる期待があればニューヨークまで飛んでも良かったかなとも思う。もし今回そんなものがあったとしたら,口惜しい思いをするのは辛いが,それはそれでいい意味での裏切りなので仕方ないだろ。
そうそう,その件のデモというのは「Google」だ。まだベータ版のころだ。素朴に「凄いな」と思ったが,やはり凄いことになった。それでも最近はデータ量が多すぎてかえってヒット率が悪くなっているような気がするね,という話も聞くようになった。なかなか難しいものだ。
[宮原 徹 ,びぎねっと]