インテルのバレットCEO来日,「日本の技術革新パワーは強力」

【国内記事】2002.3.01

 インテルは3月1日,都内のホテルで「インテル・インダストリー・フォーラム」を開催し,サンフランシスコでIntel Developer Forumが開催されていたにもかかわらず来日したクレイグ・バレットCEOが基調講演に立った。

 バレット氏は,今世界を覆っているIT不況は,どの業界でも起こる景気循環サイクル上の混乱期であって,中・長期で見れば大きく成長すると強調した。また,日本企業は高い技術力をベースに,802.11をはじめとしたさまざまな技術を生かす革新的な製品を,研究開発していくことに注力するべきと話した。

来日したクレイグ・バレットCEO

 冒頭で,「ムーアの法則がこれから15〜20年は続くことが分かっている」とバレット氏。ハードウェアの進化に見合う新しい技術によって,「エンドユーザーにメリットを提供することが企業の成長のカギになる」と話した。

 同氏は,インテルが,クライアント,サーバ,ネットワークなどのインターネットインフラに注力することも改めて強調した。

 構造不況にあえぐ日本については,「特許や知的財産の数からしても,日本の技術競争力は非常に強い」と評価した。特に,「次世代のワイヤレス技術の先陣を切っているのは日本」とし,3Gをはじめとした新しい技術を高く評価している。

 一方,日本が抱える課題として,米国と同じような状況と前置きしながら,「生活レベルと同様に,人件費が高い」ことを挙げた。

「日本は製造インフラを(中国などの)外に出し,製品の研究開発と創造に力を集中させるべきだ」(同氏)

 同氏は,IT業界の成長基盤についても触れ,オープンシステムや標準技術の利用,モジュール化,ビルディングブロックなどの「オープンインタフェース」がカギになってくるとした。インテルは,独自仕様が中心となるメインフレームに対し,オープンなIA(Intel Architecture)サーバを新しい企業システムのコンポーネントとして展開している。.Netでオープンインタフェースを展開するマイクロソフトとも同盟関係にある同社は,企業システムをメインフレームからオープンシステムへと転換させるけん引役と言っていい。

 バレット氏は,エンドユーザーにメリットを提供するためには,コンテンツの充実が必要とも話す。インテルは,日本ヒューレット・パッカードやNTT東日本とともに,最大100MbpsのFTTHサービス「Bフレッツ」を利用したコンテンツ配信のトライアルも共同で行っている。(関連記事参照)。

 この日は,トライアルのデモが行われ,映画「ロードオブザリング」がBフレッツを介して,ホームサーバからPCへとインターネット配信された。映画のデータは,6MbpsでエンコードしたMPEG-2形式。映画は全くコマ落ちすることなく,受信側PCのディスプレイ上で再生された。同社は,それがPentium 4の威力だとしてアピールしている。

 さらに,基調講演の終わりには,インテルのプロセッサ製品を扱うPCメーカーなどの代表者が紹介された。NECソリューションズの執行役員常務,富田克一氏や日本ヒューレット・パッカードの寺澤正雄社長をはじめ,ソニー,東芝,富士通,コンパックコンピュータ,ソーテック,デルコンピュータ,日本アイ・ビー・エム,日立製作所,松下電器産業の代表者が次々と登壇した。

バレット氏を中央に,日本企業の代表者が登壇した

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[怒賀新也 ,ITmedia]