富士通が.Net対応の「NetCOBOL」をリリースへ

【国内記事】2002.3.04

 富士通は3月4日,都内で記者発表会を行い,COBOLで書かれたアプリケーションをマイクロソフトの.Net Frameworkに対応させる新しい開発環境「NetCOBOL」を近日中にリリースすると発表した。NetCOBOLは,企業のメインフレームやサーバにあるCOBOLベースのアプリケーションをインターネットに対応させるため,.Netが推進するXMLを利用したWebサービスに適合させるもの。ユーザー企業は既存のシステム資産を生かしたまま,インターネット時代のシステム環境に移行できると同社はアピールしている。

 以前からCOBOLをWindows環境やおよびインターネット対応させることに力を入れてきた同社。XML形式のデータ交換によって,インターネットを介して企業間連携や業務統合を行うというWebサービスの大きな潮流に,COBOLをしっかりと乗せていこうという考えだ。

 前提となるのは,COBOLが,CやVisual Basicといった別の言語で書かれたアプリケーションとも対話できるように,CORBAやCOMといった技術で,インタフェース部分の違いを意識させないようにする考え方だ。.Net対応という場合,それをさらに,インターネットという外の世界とも対話できるように,拡張しようとするものとなる。

 NetCOBOLは,2001年の12月既にリリースされているPowerCOBOL97の次期バージョン。.Net FremeworkとCOBOLアプリケーションの間に置かれ,Visual Studio .Netと連携してより効率的な開発環境を提供するという。これにより,COBOLのプログラマーは,.NetクラスライブラリやASP.Netにアクセスすることが可能になり,また,C#やVisual Basicの開発者との作業も,今までよりもシームレスに行うことができる。

 具体的には,分散オブジェクト環境において,PowerCOBOL97では,SOAPを,CORBAあるいはCOMのコンポーネントと通信するために,IIOPやCOM+向けにプロトコルを変換するゲートウェイを間に生成する必要があった。さらに,内側にあるCOBOLベースの業務アプリケーションを,CORBA化およびCOM化しなくては,分散環境を実現できなかった。

 一方で,NetCOBOLでは,それらが自動化されている。プログラマーは,プロトコル変換などのシステム関連知識がなくても,ビジネスロジックを開発するだけでいいという。

 また,構築したWebサービスをインターネット上に公開する上で必要になる機能については,VS .Netを利用して実現する。Webサービスのインタフェースについての情報を定義するWSDLや,インターネット上において必要なWebサービスを検索するUDDIなどがそれに当たる。

 NetCOBOLは,Windowsファミリー,.Net Framework,64ビット版の.Net Serverのプラットフォームに展開する予定。また,サン・マイクロシステムズのSolaris対応版もリリースする予定だが,この場合は,「.Net対応」とはならないと考えるのが妥当だ。具体的なリリース日に関しては,明言しなかった。

 COBOL(COmmon Business Oriented Language)は,米国国防総省の援助による委員会,CODASYLが1960年に開発した事務処理計算用言語。技術者は300万人とも言われており,企業システムとして深く浸透している。近年では,UNIXやWindowsといったオープンシステムのデータベースが発達するなど,COBOLを利用する必要性が昔ほど強くなくなって来ている。技術者からは,「滅びゆく言語」などと冷遇されることもある。

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[怒賀新也 ,ITmedia]