Teradata採用で顧客関係を向上させた銀行

【国内記事】2002.3.07

 3月7日,日本NCRが開催する「Teradata Universe Tokyo 2002」のブレイクアウトセッションにナショナル・オーストラリア・バンク(NAB)へのCRM導入を手掛けたトニー・サイクス氏が登場した。

 サイクス氏は,NCR出身で,現在CRMコンサルティング会社のトビーファーズ&アソシエイツ(TF&A)に籍を置いている。今回の講演で同氏は,NABの分析系CRM導入成果について話した。

 NABは,オーストラリアを中心に,ニュージーランド,欧州,アジアに1000支店を展開する銀行。顧客情報分析ソリューションの導入前は,顧客数すら明確でなかったというが,現在システムを経営に生かし,多大な成果を上げているという。

 1998年から1993年にかけてNABは,「顧客重視のリレーションシップバンキング」を中核戦略とし,それを実現するためのシステムを開発した。同システムは,銀行−顧客の関係情報すべてを集約し,現場/支店へとレポートすることができた。

 1994年,さらなる情報を蓄積し,NABのブランド強化を図るため,Teradata RO(リレーションシップ・オプティマイザー)を採用。数千におよぶキャンペーンを集約すると共に,顧客の増大に対応し,大規模環境への拡張性向上を図った。

 まだCRMという言葉もなかった時代。「世界初の試みで,何が得られるのかも分からなかった。ただ,信じてやってきた」(同氏)というプロジェクトは,大きな成果をもたらした。

 優れたイベント検知ソリューションは,顧客の預金情報や住宅ローン返済問い合わせ履歴を記録し,トランザクションパターンやプロファイルを順次アップデートする。このシステムで毎晩データベースを洗い直し,トランザクションパターンの重要な変化を検知すると,支店の担当者に報告が上がる仕組みを構築した。

 キャンペーン部分では,チャネル,顧客セグメント,オファーの3つの切り口で,微妙に異なる1500のキャンペーンを一括管理。過去の履歴から有効なキャンペーンを再活用し,預金量および顧客満足度の向上に役立てている。

 2000年,NABは業界最高水準の顧客維持率98.4%を誇り,19.8%伸びた利益は,過去最高の33億7700万ドルを記録したという。

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[井津元由比古 ,ITmedia]