Linux Column:「OSの役割の変質を考える」

【国内記事】 2002.3.12

 なんだかんだいっても,筆者はコンピューターが好きで、かつ新しいものが大好きなのだ。雑誌やWebなどの情報は逐一チェックしている。で、気が付いたのだが,最近のデスクトップパソコンの売れ筋は「バイオW」なのだそうだ。

 実は筆者も密かに(?)近所のラオックスに行って現物をチェックしたりして、なかなかいいなあと思っていたものだ。何がいいかというとバランスがいい。デザインは結構いい感じでコンパクトだ。パワーもそこそこあって、値段が実売15万円前後と安い。テレビも見れるし、蓋状になっているキーボードを閉じると、カバーしきれなかった画面部分が時計になる。実にインテリア的だ。

 しかし、これらの機能は全てWindows XPで構築されている。画面サイズが通常とは違うからきっとLinuxをインストールするのには苦労するし、このマシンの持っている素敵な機能のほとんどはLinuxからは利用できないだろう。嫌が応にもWindows XPを使うしかないのだ。

 先日、仕事の都合上,Windows XPを少し使ってみたが、あのアメリカのスーパーで売っている、極彩色のシュガートッピングが施されたケーキのような見た目はなんとかならないのだろうか? 画面ショットがWindows XPと分かるようにしなければいけない都合上、デフォルトのままで使用せざるを得ず、頭がクラクラしてしまった。果たして、これからパソコンを仕事用に購入する人はあの画面で仕事をしなくてはならないのかと思うと、不憫でならない(大げさか?)

 新しい、魅力的なハードウェアの機能を支えるのはOSの仕事だ。バイオWはいい仕事をしていると思う。しかし、本来ならば縁の下の力持ちでなくてはならないはずのOSが、ちょっとでしゃばり過ぎていて買う気が失せてしまうというのはどうなのだろうか……。

 OSのバージョンアップというのは痛みが伴うものだ。Windows 95から98ぐらいはまあそこそこではあったが、それでも私は結構大変だった。これが98からMe、さらに2000とまで来て、「とりあえず安定しているからいいよ、もう」というのが正直なところだ。

 ビジネスでコンピューターを使うことの目的はあくまで成果であって、その成果に直結しない機能などは要求されない。コストを支払ってまで移行するメリットがなければ、誰も移行しないだろう。この不景気な状況で、ビジネス市場の考えにマッチしないようなものが売れないのも、分かるような気がする。

 最近,Linuxは特に新しい変化も見せず、「あまり盛り上がらないねぇ……」なんて話を聞く。まあ、確かに新しいエキサイティングな機能が搭載されると、それはそれで楽しいしワクワクとするのだが、もうそろそろOSは黒子に徹するべき時期が来ているのかもしれない。

[宮原 徹びぎねっと]