Sun Tech Days Keynote:津波の次にやってくる「リッキッド・データ」を明らかにしたBEAのエバンジェリスト

【国内記事】2002.3.14

 サン・マイクロシステムズが開催しているJava開発者向けカンファレンス「Sun Tech Days」2日目の3月14日,午前の基調講演に米BEAシステムズのプリンシパル・エバンジェリスト,マイケル・スミス氏が登場し,同社のWebサービス戦略とその先に続くデータ管理コンセプトについて明らかにした。

米BEAのプリンシパル・エバンジェリスト,マイケル・スミス氏

 スミス氏はまず,米国の調査会社であるメタ・グループの報告を引用して,「5つのビジネスの内,3つはソフトウェアインフラストラクチャの問題により失敗に終わっている」という現状を紹介した。「これは,今日のITによるビジネスの統合がいかに複雑であるかを物語っている」と同氏は言う。

「現在,情報は1000棟のサイロに貯蔵されており,企業は分割された家のようにこれを管理していることが,エンタープライズ環境におけるシステム統合の障害となっている原因だ」(スミス氏)

 これは,企業が蓄積しているデータが,横断的に利用できないために,「情報」として真の価値を生み出せないことを意味している。そのため,最適な情報管理コストを維持することも難しい。これは,長期的なインテグレーション戦略や共通の標準的なインフラを採用していないことが原因という。

「BEAは,WebLogicを提供することで,顧客企業のインテグレーション戦略を成功に導く手助けをする」(スミス氏)

 同氏は,企業がインテグレーション戦略を成功させるための必要条件を,共通のビューを持つことにより,有効で効果的な企業データを実現することという。これにより,迅速なアプリケーション開発と展開が可能になり,ビジネスに高い付加価値を与えることが可能になる。

 このようなデータを,一元的に管理でき,有効利用できる仕組みを迅速に実現するためにBEAが提供するのが新しいアプリケーションインフラである「BEA WebLogic Platform」だ。BEA WebLogic Platformは,J2EE準拠のアプリケーションサーバである「BEA WebLogic Server」を中核に,インテグレーション環境を実現する「BEA WebLogic Integration」,企業ポータルを実現する「BEA WebLogic Portal」および開発コード名「Cajun」(ケイジャン)と呼ばれていたWebサービス構築環境の「BEA WebLogic Workshop」の4製品で構成される。

「これは,まさにインテグレーション技術の“津波”(ビッグウェーブ)だ」(スミス氏)

 BEAではさらに,アプリケーションを統合するためのインフラだけでなく,アプリケーションが参照する「データ」を統合する環境も提供していく計画という。

「リキッド・データ」と呼ばれる同社のコンセプトは,XML技術をベースにしたもので,異機種混合のデータやローカルに存在するデータを統一されたビューにより,容易に利用できる環境を実現してくれる。

 同コンセプトにより管理されるデータは,厳密な定義とポリシーにより管理される。リキッド・データの活用により,アプリケーションを手直しすることなく,さまざまに分散されたデータを有効に活用することができるという。

「同じXMLフォーマットのデータだからといって,データの形式まで同じというわけではない。リキッド・データは,このようなデータの中間フォーマットを提供することにより,シームレスなデータ統合を実現することができる」(スミス氏)

 リキッド・データは,3〜4カ月後には,ベータ版が提供される予定。2002年後半には,製品化が見込まれているという。

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関連リンク

▼日本BEAシステムズ

[山下竜大 ,ITmedia]