フレームワークスとマイクロソフト,ロジスティックス分野で協業

【国内記事】2002.3.26

 製造業や流通業向けに物流システムの開発を行うフレームワークスは3月26日,.Net Frameworkを採用した製品やサービスを展開することで,マイクロソフトと協業することを明らかにした。この発表によりフレームワークスは,サプライチェーン上で,在庫管理や倉庫内作業支援を担う同社の「Logistics Station」を,XML Webサービスに対応させ,パートナー企業同士など,異なるシステム間をリアルタイムに相互接続させる仕組みを提供できる。従来は,メインフレームを中核として作りこんでいたプロプラエタリなシステムも,SOAPやXMLなどのオープンな標準技術を利用したWebサービスに対応することで,複数企業にまたがったシステム連携が可能になる。

 マイクロソフトのエンタープライズパートナー事業部長を務める鈴木和典氏は,今回の協業について「(.Netを展開する)マイクロソフトにとって画期的なこと」と話す。マイクロソフトは,ロジスティックスだけでなく,さまざまな分野において協業企業を増やし,.Net Frameworkを基盤にしたアプリケーションおよびソリューションパートナーの拡充を図っていくとしている。

 一方,フレームワークスの田中純夫社長は,「開発スピードとトータルコストの低さが.Net採用の理由」と話す。C#は,「標準プログラム」を必要に応じて拡張し,システムとして取り込んでいくオブジェクト指向のプログラミングモデルであるため,C#とVisual Studio .Netを用いることで,開発期間を短縮できるという。加えて,Windows系の技術が比較的「とっつきやすい」こともプラスに評価したとしている。

 また,データベースにはSQL Serverを利用する。SQL Serverは,例えばOracleと比較して安価であるため,ユーザー企業はSQL Serverを採用することで初期コストを削減できる。同様に,サーバにはWindows 2000あるいはWindows .Net Server,WebサーバはIISというように,マイクロソフトの製品を一貫して使うことで,運用効率の向上も期待できるようだ。さらに,Pocket PCベースのPDAからでも在庫管理ができるようになることで,倉庫業務の効率が向上することも可能という。

 今回,フレームワークスのLogistics Stationシリーズとして,在庫管理や倉庫業務管理向けパッケージシステム「Logistics Station iWMS」が紹介された。iWMSは,在庫の入荷や出庫,検品,ピッキング,配送,格納など,実際の在庫が流れていくプロセスを一元的に管理するソフトウェアだ。データ上の在庫と実在庫の情報を同期させ,全体を見通した管理ができるため,モノの流れをスムーズにすることができるという。

 例えば,急に大量な注文が入り,倉庫内の在庫では数量が足りないといったケースが発生した場合でも,配送リードタイムを計算することで,輸送途中の在庫を引き当てることもできる。結果として,欠品を防ぎ,顧客にはより早い納期回答を出せることで,ビジネスチャンスを逃さずに済む。

 同社は,これまで「iWMSの稼働率は100%」とアピールする。つまり,「iWMSを導入したものの勝手が悪いので使わなくなった」という,開発者とユーザー両者にとっての最悪のシナリオを一度も経験していないことになる。

 既に稼動しているユーザーとしては,ヨドバシカメラ,鈴与,日本ビクター,富士ゼロックス流通,荏原製作所,エルメス・ジャポン,三井物産など,計80社に上るとしている。

関連リンク

▼マイクロソフト

▼フレームワークス

[怒賀新也 ,ITmedia]