Oracle AppsWorld 2002 Keynote:エクステンションというタブーに踏み込むエリソンCEO

【海外記事】2002.4.09

 オラクルがカリフォルニア州サンディエゴで開催中のプライベートショウ「Oracle AppsWorld 2002」の2日目となった4月10日,同社のラリー・エリソンCEOが基調講演に登場した。

 アプリケーションビジネスでは後発のオラクルだが,今やエンタープライズアプリケーション市場でSAPに次ぐ地位を築いている。その現行バージョンであるOracle E-Business Suite 11i(Oracle EBS 11i)で同社は,1つのデータベースであらゆるアプリケーションが蓄積したデータを統合する「Infomation Architecture」,ビジネスプロセスを自動化する「Complete Automation」,そして企業のあらゆる情報をパーソナライズして配布する「Daily Business Close」という3つのメッセージを発している。

 しかし,11iユーザーは,1万2000社に及ぶユーザー企業のうち,わずか10%に過ぎない。1996年にリリースされた10.7を今でも利用している企業が55%で,残りは1998年の11.0ユーザーという。

 旧バージョンは,各モジュールが独自のインスタンスでデータ管理していた。これでは,すべてのエンタープライズアプリケーションベンダーのメッセージと考えてられるComplete Automationは可能になるとしても,Infomation Architectureがないため,Daily Business Closeを容易に実現できない。

ビジネスアプリの話ではいつもの調子が出ない? 今日はおとなしかったエリソンCEO

 OAWのメーンイベントであるこの日の基調講演でエリソン氏は,11iの開発構想から話し始めた。企業にとって最も価値のある情報がどこにあるのか分からなければならないという同氏は,「最も価値のある情報,それは顧客データだ」と話し,会場を埋め尽くした聴衆に,11iで初めて実現したオラクルにしかないInfomation Architectureの優位性を訴えた。

「CRMだけを見ても,マーケティングと営業のシステムが統合されていない。データをバラバラに管理するシステムで,あらゆる角度から顧客情報を見れるわけがない」(同氏)

 1つの顧客データベースをマーケティング,営業,およびサービスが共有し,それをさらにほかのアプリケーションへと拡大する――11iの基盤となるInformation Auchitectureは,「データセントリックなアプリケーション」という開発ビジョンで誕生したという。

エクステンションを許容する

 エリソン氏によれば,オラクルはその開発工程で,あらゆるビジネスプロセスをシステム化することが不可能であることと,膨大なカスタマイズによってサポートが難しくなり,マイグレーションができなくなってしまうことを学んだ。

 同氏は,「11iは,ビジネスに必要で変更すべき部分があれば,修正(カスタマイズ)でなく追加(エクステンション)で対応できる製品だ」と話す。

「そして,オープンだ。いくらでもモジュールを追加できるし,既存のレガシーシステムとも連携させられる」(同氏)

 この分野におけるライバルたちは,ソフトウェアを「完全なパッケージ」と位置付けており,エクステンションも「カスタマイズより罪は軽いが,やらない方がよい」としている。しかし実際のところ,特に多くの部門を持つ大企業や,独自のビジネスモデルを持つ企業では,パッケージをノンカスタマイズ導入(パラメータ設定だけで稼動させること)している企業は少ない。

 これは,あらゆるエンタープライズアプリケーションベンダーが抱える課題だが,エリソン氏は,「顧客がソースコードを変えてしまうのは良くないが,機能拡張ならOKだ」という。

「私もこれまで,エクステンションに触れない方がいいと思っていたが,それは(現実的ではなく,)大きな間違いだった」(同氏)

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[井津元由比古 ,ITmedia]