Oracle AppsWorld 2002 San Diego keynote:日々の詳細な経営情報で差別化を図るOracle E-Business Suite

【海外記事】2002.4.10

 カリフォルニア州サンディエゴで開催されている「Oracle AppsWorld 2002 San Diego」が4月10日,最終日を迎えた。締めくくりとなるこの日午前の基調講演には,オープニングセッションに登場したオラクルのマイク・ジャービス上級副社長が再びステージに立ち,ビジネスインテリジェンスの機能が組み込まれ,常に必要な情報が提供され,そうしたデータに基づく業績管理が可能な「Oracle E-Business Suite」をアピールした。

 チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)を務める彼のアイデアだろうか,冒頭に短いビデオが流された。ある会社のCEOが,「われわれはなぜ利益を失っているのか?」と経営幹部らに問い掛けると,セールス,マーケティング,そして製造のトップが互いに責任をなすりつけ始めた−−。楽しい,しかし会場に詰め掛けた経営者たちにとっては笑うに笑えない。ジャービス氏の話は,このビデオとその続きを基調に進められた。

「オラクルのE-Business Suiteなら,こんなことはない」とジャービス氏。「事実ではなく,意見で議論している」と,ビデオの登場者たちをバッサリ切り捨てた。

オラクルのマーケティングを統括するジャービス上級副社長

 初日のゼネラルセッションで,アプリケーションを担当するロン・ウォール執行副社長は,Daily Business Closeのコンセプトを新聞にたとえて説明したが,それはCMOのジャービス氏の発案かもしれない。同社は今年1月,アムステルダムで行われた欧州版のAppsWorldでDaily Business Closeを掲げ,俊敏な経営の重要性を説いている。

「毎日,世界中のすべての出来事が新聞によって手に取るように分かる。東京,アフガニスタン,ベイルートの出来事や,競合他社の動きも分かる」(ジャービス氏)

 ジャービス氏は,ライバルであるSAPを引き合いに出し,「データベースがばらばらで情報が分断されていると,見つけ出すことはできても,そのときには既に遅いかもしれない」と話す。

 ウォール氏が「わずか35セント」と言い,ジャービス氏は「たった1ドル」と表現したが,いずれにせよ500万ドルもするエンタープライズソフトウェアが,会社に関する情報を毎日伝えられていない。

 再びステージが暗くなり,ビデオが流れた。今度はCEOが取締役会で業績をレポートしているのだが,ボードメンバーのひとりが「地域ごとの売り上げが知りたい」と質問する。CEOはアシスタントに小声で「メールにアタッチしたシートを出してくれ」「あのWebサイトにある。URLは……」「パスワードは……」,といった具合でいっこうにらちがあかない。

 ジャービス氏は,E-Business SuiteのEnterprise Portalなら必要とする情報に常にアクセスできるとし,「Stay Informed」(情報通に)と表現した。

 しかし,このあと行われた架空の電機メーカー,ベロシティ・エレクトロニクスのデモで示したとおり,ポータルをパーソナライズし,シングルサインオンを実現しても,洪水のような情報が無秩序に現れてくるのを解決できるわけではない。

 続くビデオでも,顧客情報がばらばらで混乱し,ある顧客への納期がもう2週間も遅れている旨の苦情が寄せられた。

 オラクルのE-Business Suiteなら,可用性とスケーラビリティに優れたOracle9iを基盤とし,シングルデータモデルを構築,その上にさまざまな業務プロセスをプラグインできる。同社ではこれを「Information Architecture」という言葉で説明する。

 ベロシティのデモでは,単一で,しかもビジネスインテリジェンス機能が統合されているOracle9iから売り上げをドリルダウン分析し,詳細な情報を引き出してみせた。また,ベロシティが経営の最大のターゲットとして掲げる「顧客満足度」に関する分析結果も,すべて同じOracle9iデータベースから得ることができた。

[浅井英二,ITmedia]