Interview:「ライバルはi2でもマニュでもない。SAPだ」――オラクルのSCM担当副社長

【海外記事】2002.4.15

 オラクルの予測系SCM製品は,市場およびプレス/アナリストから高い評価を得ている。これは,同社がデータベースベンダーであり,データの扱いに長けているためだろう。では,同社はSCMパッケージのソリューション範囲をどう捉えているのだろう。「Oracle AppsWorld 2002」(OAW 2002)の会場で,同社のアプリケーションマーケティング担当副社長を務め,主にSCMを担当するジェフ・コールドウェル氏に聞いた。

ジェフ・コールドウェル氏

ZDNet オラクルのアプリケーションユーザーは1万2000社ということですが,どれくらいの割合でSCMが採用されているのですか。

コールドウェル 会計が最もポピュラーで,SCMはそれに続きます。約3分の2がSCMを使っていますので,約9000社がユーザーです。さらに,1つの企業で多くのインストレーションがある場合を含めたら,数倍になるでしょう。例えば,ゼネラル・エレクトリックは1社と数えていますが,20以上の異なる事業を行っており,その多くでわれわれのSCMが稼動しています。

ZDNet オラクルでは,企業がバリューチェーンを最適化するために必要とする機能が何であると考えていますか。

コールドウェル 製品開発,計画,プロキュアメント,製造,フルフィルメント(受注から料金回収に至る一連のビジネスプロセス),メンテナンスの6つです。

ZDNet SCMを中心とするアプリケーションベンダーでは,i2テクノロジーズがマーケットリーダーで,続いてマニュジスティックスがあります。ほかにも多くの企業がひしめいていますが,基幹系との統合は別として,オラクルが優れている点はどこですか?

コールドウェル まず,われわれは先ほど言った6つのカテゴリーをカバーすべく,50のモジュールを持っています。展示会場を見てもらえば分かるとおり,オラクルはこの6つのカテゴリーに,すべてソリューションを提供できます。

 一方,i2はどうでしょう? 彼らは,計画と少しのプロキュアメント(旧ライトワークス)しか持っていません。彼らは,製品開発のためのモジュールを持っていると主張していますが,それは誤りです。最近,i2出身者を雇ったので知っていますが,彼らはこの分野のソリューションを提供できません。

ZDNet i2は,フルフィルメントを持っていると聞いていますが。

コールドウェル いえ,持っていません。インターネットベースの受注管理システムで,かつ在庫をリアルタイムで把握できる仕組みは持っていないはずです。

ZDNet では,マニュは?

コールドウェル 彼らは,その名のとおり製造(マニュファクチャリング)に強いでしょう。でも,その分野だけです。

ZDNet マニュは,最近SPA(Service and Parts Management)ソリューションをラインアップし,メンテナンス分野に力を入れていると聞きます。また,プロキュアメント部門も新設していますが。

コールドウェル マニュにしても,i2にしても,単に言葉だけを並べ立てて解決できると主張しているに過ぎません。われわれの定義する6つの分野をカバーしているわけではないのです。そのほかでは,アリバやコマースワンがありますよね。しかし,彼らはプロキュアメントのためのソフトウェアしかないでしょう? われわれとは比べものになりません。

ZDNet では,オラクルから見てライバルとなるのはどこですか。

コールドウェル SCM分野では,SAPですね。彼らは6つのエリアすべてにソリューションを提供できます。しかし,われわれの方が優れている面が2つあります。1つ目は,データエレメントの持ち方です。われわれはシングルインスタンスであらゆるデータを管理できますが,SAPは,6つの分野をカバーするために,4つの異なるデータモデルを連携させなければなりません。もう1つは,オラクルなら容易に拡張できるという点です。われわれは,オープンなAPIをサポートしており,EDIやXML,そしてWebサービスを可能にするアーキテクチャを持っています。SAPは,BAPIがあると言うでしょうが,開発者はBAPIが難しいと言っています。拡張は難しいでしょう。

 システムインタグレーターは,SAPが好きです。なぜなら,インプリメントもコンフィグレーションも難しいからです(笑)。

グローバル展開と時差対応

ZDNet グローバルなバリューチェーン管理に向け,オラクルのビジョンについて教えてください。

コールドウェル まずは,先ほどの6つをすべてカバーする完全なSCMソリューションを提供するということです。そして,アプリケーションがすべてインターネットベースであることも必要です。さらに,そこから蓄積するデータがOracleデータベースで一元管理されることにより,完全で統合されたソリューションを提供できるのです。

 われわれは,多言語(今回のOAWで,アイスランド語の追加が発表され,31カ国語対応となった),多通貨に対応し,さらに国別に特有な機能もカバーしています。

ZDNet 時差についてはどうでしょう? グローバルで展開するに当たり,時差の問題に対応できないという話を聞いたことがあるのですが。

コールドウェル データベースレベルでタイムゾーンサポート機能を実装していますので,既に時差には対応済みです。

関連リンク

▼日本オラクル

[聞き手:井津元由比古 ,ITmedia]