Interview:あらゆるサーバセグメントにビルディングブロックを提供するインテル
| 【国内記事】 | 2002.4.16 |
RISCプロセッサとUNIXが企業のデータセンターに築いてきた牙城もインテルが次々と繰り出すプロセッサの前に危うくなってきた。IDCがまとめた調査結果もそれを裏付けており,UNIXやRISCプロセッサのシェアは年々低下の一途だ。インテルは4月16日から千葉・浦安の舞浜で「Intel Developer Forum Spring 2002」を開催し,エンタープライズ分野における勢いをさらに加速しようとしている。米インテル エンタープライズプラットフォーム事業本部でアドバンストコンポーネント事業部長を務めるトム・マクドナルド氏に話を聞いた。
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| エンタープライズプラットフォーム事業本部でチップセットなどビジネスを統括するマクドナルド氏 |
ZDNet 経済低迷によるIT予算の効率化もひとつの要因だと思いますが,インテルアーキテクチャ(IA)が企業のデータセンターに受け入れられている背景をどう分析されているのでしょうか。
マクドナルド サーバ市場では現在,比較的小さなサーバを数多く並べる「スケールアウト」が大きなトレンドとなっています。これは単にWebフロントエンドだけではありません。TPCベンチマークのトップ10を見ても,IAのクラスタ化によるシステムが上位を占めています。われわれは,32ビットながら,まだまだヘッドルームに余裕のあるハイボリュームのXeonプロセッサを,こうしたスケールアウトのビルディングブロックとして提供していきます。
プロセッサだけでなく,われわれは「E7500」と呼ばれるデュアルXeonシステムに最適化されたチップセットもリリースしました。16GバイトのDDR200メモリと6個の新しいPCI-Xチャネルをサポートし,プロセッサ,チップセット,I/Oによるバランスの取れたプラットフォームを実現しています。
インテルでは,向こう1年で6つのチップセットを次々と出荷する計画ですが,E7500はその第一弾です。
また,これは企業市場で取り組んできたことの延長線上にあるのですが,これまでRISCプロセッサとUNIXといった「専用機」が使われていた通信業界にも食い込みを見せています。音声とデータのコンバージェンスが進み,また経済低迷のあおりを受けてスタッフと予算が半減する中,通信事業者は特殊な専用機ではなく,オープンなスタンダードをベースとした,柔軟で価格性能比に優れたIAプラットフォームを選択しようとしています。
ZDNet 最近注目を集めているブレードサーバについてはどうですか。
マクドナルド デュアル構成が可能な低電圧版Pentium IIIプロセッサでは,消費電力を下げながら,性能を維持しています。サーバの「密度」を高めるブレードサーバにはこうした技術が必要となります。また,ブレード間の接続として,ギガビットイーサネットや将来はInfinibandが使われます。これらの技術においても,インテルは業界をリードしています。
ZDNet しばらくのあいだ,Xeonがハイボリュームのサーバ向けプロセッサであり続けるということでしたが,64ビットのItaniumはどうですか。
マクドナルド 先ほど,サーバ市場で起こってる幾つかのトレンドについて話をしましたが,垂直方向にスケールアップするSMPサーバの流れもあります。IA-64は,こうした企業向けの堅牢な大型マシンをターゲットにしています。
今回のIDFでも,基調講演の中で,次期プロセッサであるMcKinleyサーバのデモを日本で初めて公開しました。4ノードの4ウェイサーバをInfinibandによってクラスタ接続し,IBM DB2を稼動させたものです。
現在,McKinleyはパイロットリリースですが,10社のOEMが8ウェイかそれ以上のシステムを開発すべく投資を行っています。McKinleyは,この夏にプラットフォームリリースが予定されており,同時に870チップセットも出荷されます。
ZDNet 10社のOEMが開発しているMcKinleyサーバは,870チップセットを採用しているのですか。
マクドナルド いいえ,先行する彼らは8ウェイかそれ以上のシステムのために独自にチップセットを開発しています。われわれが提供する870チップセットは,4ウェイや8ウェイまでのビルディングブロックを提供するものです。
870チップセットは,4つのMcKinleyをメモリコントロールハブが束ね,最大64Gバイトのメモリをサポートします。メモリコントロールハブとサーバI/Oハブは「スケーラビリティポート」で接続されます。8ウェイにする場合は,このスケーラビリティポートをスイッチ化し,4ウェイシステム同士を接続します。
NECやIBMなどがメインフレームで培った独自の技術をIAサーバに盛り込んでくれるのは歓迎しますが,われわれのチップセットはボリュームゾーンを狙ったビルディングブロックです。
ZDNet 4ウェイや8ウェイといったボリュームを狙うMcKinleyサーバが市場に出てくるのはいつごろですか。
マクドナルド それほど遠くありません。今年の末には多くの発表があるはずです。
[聞き手:浅井英二 ,ITmedia]

