VMware Conference Keynote:「ITの未来はバーチャルに考えよう」と話すVMwareのチーフサイエンティスト

【国内記事】2002.4.18

 ネットワールドは4月18日,同社が実質的な国内総代理店となっている米VMwareの仮想化ソフトウェアの最新バージョンの国内発表にあわせ,世界でも初めてとなる「VMware Conference」を開催。基調講演に,米VMwareの共同創設者兼チーフサイエンティスト,メンデル・ローゼンブラム博士が登場し,仮想コンピューティングの「現在,過去,未来」について講演した。

米VMwareの共同創設者兼チーフサイエンティスト,メンデル・ローゼンブラム博士

 VMwareの仮想コンピューティングは,インテルアーキテクチャ上に仮想化レイヤを実現し,複数の仮想ハードウェアを実現することで,1台のハードウェア上で複数のOSを稼動することを可能にする技術。しかし,ローゼンブラム博士は,「仮想コンピューティング技術は,何も最先端の技術ではない」と話す。

 仮想コンピューティングは,1960〜1970年代にIBMにより提唱されたアイデアという。当時は,コンピュータ1台の価格が非常に高価だったため,リソースを有効利用することを目的に仮想コンピューティング技術が注目されていた。その後,1980年代に一旦消滅してしまうが,2000年代に異機種混在環境やOSのマイグレーションを目的とした技術として再度,陽の目を浴びることとなった。

「われわれの仮想コンピューティングの特徴は,現在PC上で利用されているほとんどのソフトウェアを実行できる互換性と,仮想マシン間のデータや処理を完全に独立させた隔離性,仮想マシンの状態を一元的に管理,操作できるカプセル化にある」(ローゼンブラム博士)

 VMware製品では,ホストOS上で,MS-DOSをはじめ,Windows 3.1/95/98/NT/2000/Me/XP,Linux,FreeBSDなど,さまざまなOSを稼動させることが可能。これらのOS上で実行可能なすべてのソフトウェアをサポートすることから,下位互換性の問題も容易に解決することができる。

 また,仮想化レイヤの上で動作する仮想ハードウェアは,完全に独立していることから,ある1つの仮想ハードウェアに障害が発生した場合でも,ほかのバーチャルマシンに影響を及ぼさないという。

 さらに,最新のOSを利用することで,分散システムやクラスタリングをサポートするだけでなく,電源やリソースの管理など,仮想マシンを強化するさまざまな機能が搭載されている。これらの機能を利用することで,ネットワークを利用した仮想マシン間のデバイス共有が可能になるほか,信頼性,可用性,管理性を向上することが可能になる。

 今後,VMwareでは,スケーラビリティに優れ,自己管理機能を搭載した仮想ストレージ技術を実現していく計画という。さらにその先には,仮想マシンをクラスタ化し,高い拡張性と可用性,アプリケーションから独立した負荷分散機能,ニーズに応じたプロビジョニングやリソース提供などを実現できる仕組みを実現。コンピューティング環境のすべてを仮想化したいと考えているようだ。

「ITの未来はバーチャルに考えよう。仮想コンピューティングを利用することで,さまざまな(ITの)問題を独創的に解決することが可能になる」(ローゼンブラム博士)

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[山下竜大 ,ITmedia]