沖電気,アーキテクチャを一新した新「CTStage」をリリース

【国内記事】2002.4.22

 沖電気工業は4月22日,CTIサーバ製品「CTStage」の最新バージョンとなる「CTStage 4i for .NET」を発表し,同日より販売を開始した。

 CTStageは,音声と電子メールやボイスメールなどを統合した,ユニファイドメッセージング環境を構築するためのCTI(Computer Telephony Integration)システムで,企業ネットワークやコールセンター(コンタクトセンター)をターゲットとしている。新バージョンでは,従来より提供してきたunPBX型に加え,ソフトスイッチアーキテクチャを採用。キャリアやASP(Application Service Provider)など,より大規模なシステムに対応できるようにした。

 従来のunPBXアーキテクチャでは,サーバにPCIボードを搭載することで内線・外線機能を実現している。手軽にIP-PBXを実現できるというメリットがあったが,反面拡張性に欠けるというスケール上の限界があった。CTStage 4i for .NETでは収容回線数が大幅に拡大しているが,それでもやはり,端末100台程度の中小規模のシステムに限られてしまう。

 これに対し,新たに追加されたソフトスイッチアーキテクチャでは,実際に通話/通信を行う端末と,呼制御を行うソフトスイッチが分離されているため拡張性が高い。同社では,コールセンターで300席レベル,IP-PBXでは1000端末程度まで対応できるとしている。また,付加価値サービスとして音声ポータルなどの提供を検討しているキャリアやASPにも適用できるという。

 また,最近普及が進んでいるIP-VPNサービスや広域イーサネットサービスを組み合わせれば,地理的に離れた複数のコールセンターを,CTStage 4i for .NETで制御・統括する大規模分散型コールセンターを,より安価に構築できる。従来のバージョンでも分散型コールセンターは実現できたが,ソフトスイッチの導入によって,さらに大規模な分散型コールセンターが可能になるという。

「従来のunPBXによるコールセンターの実現だけでなく,ソフトスイッチアーキテクチャの対応,IP-PBXの実現によって,CTStageは“CTI&IP”を実現する」と,同社マルチメディアメッセージングカンパニーのプレジデント,坪井正志氏は語り,さらに「CTStage 4i for .NETは,CTStage最初のリリース以来の大きな発表だ」とした。

.NETフレームワークに対応

 同社は昨年マイクロソフトと提携を結び,共同でコンピュータ・テレフォニー環境の実現に向けて取り組んできた。この枠組みに沿って,既にCTStageとWindows 2000,Exchange 2000やActive Directoryの連携は実現済みだが,CTStage 4i for .NETはさらにその取り組みを拡大。マイクロソフトの「Microsoft .NET」フレームワークをサポートしている。

 同時に,これまでサポートしてきたVoiceXMLやActiveXコントロールベースの「CT-API」に加え,.NETフレームワークのクラスとして定義された「CT-OM(CT Object Model)」がAPIとして提供される。

 この結果,マイクロソフトの「VisualBasic .NET」「Visual C# .NET」といった開発言語を用いて,容易にカスタムCTIアプリケーションを開発,構築できるという。

 さらに,SIP(Session Initiation Protocol)に対応し,IPネットワークとの親和性を高めたほか,IPv6に対応。また,従来より対応してきたアナログ電話やFAXに加え,ソフトIPフォンやPDA,PHS,IP電話の収容も可能となった。これにより,ロケーションやデバイスにとらわれない,“ユビキタス”なコミュニケーションを実現するという。

 CTStage 4i for .NETは,unPBXモデル,ソフトスイッチモデルともに,ハードウェア/ソフトウェア一体型の形で出荷される。

 ソフトスイッチモデルは今年秋以降に出荷される予定で,価格は企業IP-PBX向けの「オフィスコミュニケーション」が6000万円から,大規模コールセンター向けの「カスタマ・コンタクトセンタ」は1億5000万円から。

 またunPBXモデルはそれに先駆け,7月より順次出荷される予定だ。内線無し,外線69回線を収容する最小構成モデルで1732万円,内線96回線と外線92回線を収容するモデルは3460万円などとなっている。

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[高橋睦美 ,ITmedia]