マイクロソフトのCFO来日,ライバルと比較して業績は好調と主張

【国内記事】2002.4.26

 マイクロソフトは4月26日,2002年6月から3月までの第3四半期の財務動向について説明する記者発表会を都内で行った。来日している同社のシニアバイスプレジデント兼最高財務責任者(CFO),ジョン・コナーズ氏が競合他社との分析も行っている。同社は,4月18日に行われた第3四半期の決算で大幅な増収を報告したものの,Office XPとXboxの売り上げがアナリストの期待ほどは伸びなかったと伝えられている。しかし,ライバル企業は軒並み前年比マイナスを余儀なくされており,Windows XPの成功などを背景に,同社は売上高および営業利益ともに増加を達成したことを主張している。

来日したジョン・コナーズCFO

 数字を見ると,売上高は,対前年比で16%,11.91億ドルの増加,営業利益も10%,約3億ドル伸びている。同社の資料で紹介されている企業では,AOL以外すべては,売上高が前年比マイナスに終わっている。特に,サン・マイクロシステムズはマイナス幅40%に迫り,シスコシステムズも30%,IBMも10%ほど減少させている。

 一方,4月16日時点のマイクロソフトの株式時価総額は3100億ドルで,全産業ベースでゼネラルエレクトリック(GE)に次いで第2位,ハイテク業界ではインテルの2070億ドルに大きく水を空けてトップだ。また,ITバブルの余韻の残る2000年7月25日との比較も行った。同社の当時の時価総額は3760億ドルで,現在とそれほど変化していないが,シスコは当時の5000億ドルから1170億ドルへ,オラクルは2310億ドルから現在は650億ドルと急落している。

 これにより,ITバブル崩壊の影響をあまり受けなかったことで,同社が財務体質の健全性を維持できたことが分かる。逆にいうと,当時のバブルは「インターネットバブル」であり,同社はそのころはまだインターネットにあまり興味を持っていなかったことが,幸運につながったと言えるかもしれない。ビル・ゲイツが.Net構想を打ち出し,ようやくインターネットベースでビジネスを展開しようと決意したのは,2000年6月だ。当時はまだ,WindowsやOfficeなどのソフトウェア販売が,同社の絶対的な収益の柱だったのだ。

 なお,同期の売上高211億ドルのうち,デスクトップ分野は,Windows XPのリリースにより14%増の69億ドルとなった。また,エンタープライズ向けソフトウェアとサービスは6%増の38億ドルとなっている。

 コナーズ氏は,同社が2002年度を通して重点を置く分野として,「PC市場の活性化」,中小規模ビジネスへの注力も含めた「サーバとエンタープライズ分野へのさらなる取り組み」,MSNサービスなどによる「消費者の信頼獲得」,そして「サービスビジネスの強化」を挙げている。

 特に,エンタープライズビジネスは「今後5年間で最も重要」としている。同氏は,Windows Serverの出荷台数がここ2年で急増したとするデータや,Visual Studio .Netにコミットしていくことなどを強調している。

SQL Serverの成長が意味するもの

 この日同氏は,SQL Serverの出荷台数が前年比で12%伸びたことも明らかにしている。

「SQL Sever 2000になってスケーラビリティや管理性,OLAPの機能が大幅に改善した」(コナーズ氏)

 OLAP(Online Analytical Processing:オンライン分析処理)とは,エンドユーザーが直接データベースを操作し,解決策を模索する分析型のアプリケーション概念のこと。企業はOLAPによって,顧客データや販売データなどを蓄積したリレーショナルデータベースを多次元的に解析し,視覚化する。マイクロソフトは,SQL Server 7.0で初めてOLAP機能をSQL Serverに組み込んでいる。

 価格面でも,SQL Serverと競合するOracle製品を比べた場合,Oracleの製品単価はSQL Serverの2〜4倍になるとし,SQL Serverのプライスパフォーマンスについてもアピールしている。

 オラクルは最近,業績の下方修正や株価急落など,厳しい状況におかれつつあり,SQL Serverは同社の脅威となっている。一般に,データベースはOSと並んで企業システムの根幹となる製品であるため,ほかのアプリケーションはデータベースとの接続性を重視するケースが多くなる。

 つまり,SQL Serverが普及することで,B2BやEAIを実現するBizTalk Serverや,Exchange Server,Commerce Serverといった,同社の.Net Enterprise Serversが必然的にシェアを拡大する可能性が高くなるのだ。

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[怒賀新也 ,ITmedia]