| エンタープライズ:トピックス | 2002年5月09日更新 |
N+I 2002 LasVegas Keynote:「ネットワーク技術を活用すれば10〜15%の生産性向上が可能に」とチェンバース氏
N+Iには7年ぶりの登場となる同氏は,時には壇上から満員のフロアに降りて来場者に語りかけ,時にはジョークを交えながら,ネットワークへの投資こそが生産性の向上をもたらし,企業の業績を,さらには経済全体を押し上げることになると強調した。
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| 講演全体を通じて徹頭徹尾「生産性」を強調したチェンバース氏 |
同社は先日,投資家予測を上回る業績を発表している。そうした背景も手伝ってか,チェンバース氏の講演は,ようやくリセッションが終わり,景気回復のめどが見えつつあるという希望をのぞかせるものとなった。
チェンバース氏は,スピードが着目されたかつてのインターネットエコノミーとは異なり,今は利益が重視される「Show Me」経済に移行していると言う。ここで重要視されるのは生産性だ。そして同氏は,シスコシステムズをはじめとする各社が提供する技術を活用することで,企業は今後,年に10%から15%という生産性の向上を図れるとした。
ここで同氏が強調したのは,ネットワーク活用をコスト削減の手段にとどめるだけでは不十分だということだ。もちろん,ネットワークによって企業のコストは大きく削減できる。だがそれだけにとどまらず,eラーニングやeセールスといったアプリケーションを通じて,ビジネスプロセス自体の改善に活用し,生産性を向上させることが肝心だと言う。
同時に,単に盲目的に技術に投資するのではなく,「その技術を何に使うか,どう使うか」という,自社のニーズや戦略を明確にし,そこにフォーカスすることによってはじめて,フルにネットワーク技術を活用し,生産性の向上が望めるとも述べている。
チェンバース氏はまた,以前N+Iで講演した際に,音声やデータなどあらゆるものが1つのネットワークに統合されると述べたことを振り返ったうえで,さらに「現在は全てが1つのネットワークに統合されただけでなく,ますます安価になっている」と語る。
これとともにトレンドも変化した。同氏によれば,今注目すべきはセキュリティやアベイラビリティ,アプリケーション,それに,あらゆる場所から同じようにアプリケーションを利用できる「ネットワーク・バーチャル・オーガナイゼーション(NVO)」,それに生産性の向上だ。
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| フロアに下りて熱弁するチェンバース氏 |
では,NVOを実現し,生産性を向上させるための課題は何か。チェンバース氏によれば鍵を握るのは,「モビリティ,セキュリティ,それにアベイラビリティ」の3つだという。
中でも同氏が強調したのが,セキュリティである。チェンバース氏は,CERTによる不正アクセス件数のデータを引用しながら,ネットワークに対する攻撃が激増し,またCodeRedやNimdaによって,膨大な額の損失が発生していることに言及した。
同時に,無線やモバイル接続の普及によって「セキュリティは変わった。いまやセキュリティは,企業全体にまたがる戦略として捉えなければならない」と語り,単なるウイルス対策にとどまらず,ネットワークアプリケーションのデザインや成りすまし防止などを含んだ,統合されたセキュリティソリューションが必要だとした。
同氏はまた,企業のNVO化が進めば進むほど,テクノロジへの依存が高まることにも触れ,こうした状況においては,アウトソーシングによって劇的に生産性を向上させることができるとも語っている。
関連リンク
NetWorld+Interop LasVegas 2002
[高橋睦美 ,ITmedia]


