エンタープライズ:トピックス 2002年5月09日更新

「10GbEは実用レベル」を実証するeNet

 過去のNetWorld+Interop(N+I)ではたびたびBest of Showを受賞してきた米エクストリームネットワークス(エクストリーム)だが,今回は特に新製品のリリースはなく,自社ブースでの展示も既に発表済みの製品が中心だ。

だが同社は,ラスベガスコンベンションセンター(LVCC)全体にわたって構築されたInteropNet Event Network(eNet)を通じて,10ギガビットイーサネット(10GbE)が実用に足る技術となったことをデモンストレーションしている。

 eNetは,出展社や来場者にネットワークへのアクセスを提供するN+I 2002 LasVegasのインフラで,1万2000にも及ぶノードを収容している。だが,構築に要した日数はわずかに4日間だということだ。出展各社はこのネットワークを用いて,さまざまにデモンストレーションを行っている。

 N+I 2002 LasVegasの展示会会場であるLVCCは,通路を挟んで大きく2つのホールに分かれているが,eNetはこの2つのホールを10GbEで接続。これがコアネットワークだ。さらに各ホールではL3スイッチ経由でエッジネットワークを構築し,出展各社に10BASE-T/100BASE-TXや無線LANでドロップ(接続)を提供している。

 こうして説明すると,eNetのトポロジが非常にシンプルであることが分かるだろう。なお外部にはOC-3で接続している。

 エクストリームでは,コアの10GbEを担うBlackDiamondを提供するほか,会場内のあちこちに置かれ,出展社へのドロップを提供するPedにも,SummitやAplineなどの同社製品を提供している。また,外部接続部分には,BlackDiamondとジュニパー・ネットワークスのMシリーズが配置されており,この2つでロードシェアリングを行っている。

このラックに収容されているのが,10GbEモジュールを搭載したBlackDiamond

 eNetは展示会用の一時的なネットワークとはいえ,規模は非常に大きく,またトラブルが発生すればイベント自体に大きな影響を及ぼす。したがって,信頼性や冗長性の確保は欠かせない。「ここが落ちるとネットワーク全体が死んでしまう」という単一の障害ポイントを作らないことが,ネットワーク設計上重要になる。

 そこで今回は,機器やネットワークそのものの冗長化だけではなく,エクストリームの独自技術であるEAPS(Ethernet Automatic Protection System)を利用して障害に備えているという。EAPSは,リング状ネットワークの冗長化を実現する,レイヤ1/2レベルの技術で,ラピッドスパニングツリープロトコルよりもずっと早く,SONET並み,つまり50ミリ秒単位で経路回復を実現すると言うことだ。

 もう1つ,eNetに関して興味深いのは,外部から受ける攻撃である。昨年はなんと万単位の不正侵入が試みられたという話だ。もちろんeNetでは二重化したファイウォールを設置しており,これにはノキアのIPシリーズが採用されている。

eNetの運用を担うNOC

 また,eNetを見守るネットワークオペレーションセンター(NOC)では,コンピュータアソシエイツの「Unicenter」やレイヤーセブンの「ServiceWatch」を利用し,トラフィックの推移や機器の稼働状況を監視している。

 なお,今年7月に幕張メッセで開催されるNetWorld+Interop Tokyoでも,同様に10GbEがShowNet(N+I Tokyo版のeNet)のバックボーンとして活用される見込みだ。

関連リンク

▼NetWorld+Interop LasVegas 2002

[高橋睦美 ,ITmedia]