エンタープライズ:トピックス 2002年5月20日更新

Linux Column:「Mozilla 1.0への期待とWebブラウザの行方」

 先週末に,オープンソースのWebブラウザ「Mozilla」の集まり「Mozilla Party 3.0」に参加してきた。本当はセミナーから参加したかったのだが,諸々の事情により夕刻からのパーティーのみの参加となってしまった。会場が秋葉原に近いということもあるのだろうか,開場前の会場前(笑)には沢山の「それっぽい」人々が集結していた。その数およそ150名。随分と集まったものだ。

 今回の集まりの主旨は長らく開発が行われてきたMozillaの正式版1.0のリリースをお祝いするものであった。予定では,既に正式版がリリースされているはずだったのだが,残念ながら予定は延びてしまった。そうはいっても正式リリースは秒読み段階だろう。

 しかし,Mozillaが出てきてから,Webブラウザを取り巻く状況は随分と変わったように思う。Internet Explorerの巻き返しに対する対処という感じでNetscape Navigatorのオープンソース化,つまりMozillaが生まれてきたわけだが,そのときの予想の通り,市場シェアは逆転し,IEがWebブラウザのマーケットを支配している。確かに,いいものがあらかじめ入っていれば,わざわざ入れ直そうと思うユーザーなどいないのだから。

 それでも最近,少しは風潮が変わってきた。急速な拡大はどこかで必ず破綻を来たす。それがIEの場合は肝心要のセキュリティという面で現れた。機能拡大と合わせての肥大化がもたらしたものだ。そして,その代替案として出てきたのが,NetscapeでもMozillaでもなく,第3勢力ともいうべきOperaだ。

 Operaの魅力はスリムでライトであるという点に尽きるだろう。IEやNetscapeなどが指向したのとは反対の方向性に基づいて開発されているだけに,コントラストが利いている。

 果たして,NetscapeやMozillaの戦略は間違っていたのだろうか?

 現時点で判断する限り,間違っていたとまでは言い切れないが,正しかったと言い切るのもはばかられるところだろう。少なくとも敵失で得点できない,新参者のOperaにしてやられている,という現状では観客席からため息が漏れても仕方がない。

 それでも,とにかく1.0へたどり着いた(正確にはたどり着こうとしている)点については全面的に賞賛したい。ただし,ここが終わりではない。果たして今後の方向性としてどのようにするのか,機能の強化なのか,それとも軽さを身上にするのか,あるいは全く違う新機軸を打ち出してくれるのか……。

 なんとなくマンネリ感のただようWebブラウザの世界に,新しい何かを起こしてくれるのは,世界にWebという新しい世界を切り開いて見せてくれたものの正当なる系譜をもつNetscapeと,自由な開発によるMozillaであるべきだと,ほとんど根拠も無い期待をいだきつつ,今後の行方を見守ろう。

少しだけ個人的な希望を言えば,ゴテゴテと機能をつけずに切れ味よくすっきり使いやすい,そんなシンプルなMozillaが見てみたいような気がする。

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[宮原 徹びぎねっと]