エンタープライズ:トピックス 2002年5月21日更新

ボーランドがJava開発にワン・ツー・パンチ! JBuilder 7にテストスイートも統合

 優れたRAD(Rapid Application Development)環境としてWindowsの普及を後押しし,.Net Frameworkでもファーストクラスの言語としてサポートされるDelphiが東の横綱なら,JBuilderは西の横綱だ。Java開発ツールの市場では,40パーセント以上のシェアを誇り,デベロッパーから高い支持を得ている。

 Delphiのチーフアーキテクトだったアンダース・ヘイルスバーグ氏がマイクロソフトへ移籍し,Visual J++のアーキテクトとなったのはとても皮肉だ。

 ボーランドソフトウェアは米国時間の5月20日,カリフォルニア州アナハイムで行われている年次デベロッパーズカンファレンス「BorCon 2002」で,JBuilderの最新バージョンを発表した。

 新しいJBuilder 7は,チーム開発の効率を高める「TeamSouce DSP(Development Services Platform)」とアプリケーションのパフォーマンスを最適化する「Optimizeit Suite 4.2」をワンクリックで呼び出せるよう統合を図った。デザインから配布に至るまで,アプリケーション開発のライフサイクル全体をJBuilderが継ぎ目なくカバーし,短期間で質の高いアプリケーションを開発できるようにするのが狙いだ。最適化でアプリケーションの動作が速くなれば,ハードウェアに要するコストも抑えることができる。

 JavaビジネスユニットのGMを務めるトニー・デ・ラ・ラマ副社長は,「JBuilderとOptimizeit Suiteの組み合わせは,Java開発のワン・ツー・パンチだ」と話す。

 Optimizeit Suiteは,アプリケーションの品質を高めるための,いわゆるQA(Quality assurance)作業を支援するテストスイート。主にプロファイラー,スレッドデバッガ,そしてコードカバレッジから構成される。ボトルネックを探してくれたり,各スレッドがどのように動作しているかを表示してデッドロックなどの問題を探し出してくれるなど,どれも便利なテストツールだが,別個の製品や環境になっているとなかなか使ってもらえない。

 Optimizeit Suiteは今年1月,VMギアを買収して手に入れたものだが,必ずしもすべてを自社製品で固めようとしているわけではない。デザインフェーズで利用するモデリングツールは,ラショナルからライセンスしたり,アプリケーションの配布や管理といったフェーズでは,数多くのJ2EEアプリケーションサーバをシームレスにサポートしていてボーランドらしい。

 また,TeamSource DSPはボーランドの技術者たちが使っていたチームコラボレーションツールをまとめたもの。バージョン管理ツールのほか,履歴をテーマやプロジェクトごとに記録しておけるセキュアなインスタントメッセージングツールも付属する。デベロッパーらは,自社でリポジトリを管理できるが,データセンターのようなボーランドのパートナーからサービスとしてこれらの機能を利用することもできる。

 JBuilder 7,Rational Rose Professional J 2002,Rational Unified Process 2002,Macromedia Dreamweaver MX,およびOptimizeit Suite 4.2から構成される「Enterprise Studio 4 for Java」の価格が,4999ドル。JBuilder 7に3カ月間のTeamSource DSP使用料とOptimizeitのCode Coverageが付属した「JBuilder Enterprise」は,2999ドル。

 また,今回はJBuilder 7 Special Editionも用意され,価格399ドルとなっている。なお,JBuilder 7は,Windows,Linux,Solaris,そしてMac OSで開発,配布できる。

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[浅井英二 ,ITmedia]