エンタープライズ:トピックス 2002年5月28日更新

富士通,ブレードサーバ「PRIMERGY BX 300」発表

 富士通は5月28日,都内で記者発表会を開き,同社のプラットフォームコンセプト「TRIOLE」に基づくIAサーバ製品,PRIMERGYシリーズを刷新すると発表した。新製品として,ブレードサーバ「PRIMERGY BX 300」やインテルのXEON MPなどを搭載した「PRIMERGY/H450/R450/F250/P250」がリリースされた。

 同社のパーソナルビジネス本部の川勝匡紘氏は,「今後の情報システムのマクロ的な展開では焦点がサーバからネットワークへとシフトする」と話す。Webサービスやグリッドコンピューティングなど,インターネットをベースに企業間や部門間をまたがったシステム構成が主流なりつつありこともあり,「ネットワークへの負荷は増大する」という。

 したがって,サーバマシンはデータ量急増へのスマートな対応や,分散処理によるクラスタリングなどに対応し,ネットワークの安定化を含めてユーザーに信頼性を提供していく必要があるとしている。

 そのニーズを満たす製品として同社が発表したのがブレードサーバのBX300。ブレードサーバには,コンパックコンピュータやNEC,デルコンピュータなど,ハードウェアメーカー各社が力を入れている。ブレードサーバの特徴は,薄いブレード(刀身)状のサイズによるサーバ実装効率の良さ。本棚に本を並べるようなイメージで,シャーシに多数のサーバをズラリと差し込むことができる。そのため,特に,オフィスの賃貸料の増加を気にする都心のIDC/xSP事業者などにTCO削減といったメリットを提供するという。

 例えば,同社の薄型ラックマウントサーバの場合,1U当たり2CPU,3Uなら6CPUが最大となる。一方で,ブレードサーバのBX300では,3Uのきょう体に20台のBX300が搭載でき,すべて2Way構成にした場合は最大40ものCPUを動かすことができる。また,消費電力も薄型ラックマウントサーバの約5分の1と小さいという。さらに,必要となるケーブル本数は,20サーバの導入で比較した場合,LANケーブルとACケーブルとの合計で12分の1になるため,サーバ環境をすっきりさせることができるという。

 このことからも,Webサーバやキャッシュサーバ,ファイアウォール,プロキシサーバ,メールサーバ,そのほかの業務アプリケーションなどを,ブレードサーバに集約するサーバ統合に利用すると効果は大きいとしている。

発表されたブレードサーバ「BX 300」

 BX 300の主なスペックは,CPUは低電圧モーバイルPentium III/866MHz,2.5インチサーバ用IDEハードディスク×2ベイ(最大で80Gバイト),メモリスロットは2つ(最大2Gバイト),1GbpsのオンボードLAN×2,サポートOSはWindows 2000 Server/.Net Server,Red Hat Linux 7.2 Professional。ファンや,スイッチブレード,マネジメントブレード,電源ユニットは冗長化が可能。サーバブレードを含めて,各ユニットはホットプラグに対応しており,工具を使わずに電源を入れた状態で取り付けや取り外しが行えるという。

 また,同製品には,初期導入時にハードウェア設定からOSまでの一括インストールを行うソフトウェア「SystemcastWizard Professional」が添付される。SystemcastWizard Professionalでは,最初に1台のBX 300にマスターとなるシステム環境をインストールし,その後,残りのBX 300サーバには,環境情報をマルチキャスト配信するという操作で導入できるため,管理者の負担も軽くなるという。

 BX 300は1Way,メモリ256Mバイト,HDDは20Gバイトの構成で,1ブレード27万円から,きょう体は65万円からとなっている。出荷は8月上旬からを予定している。

 一方,この日発表されたブレードサーバではない自立型サーバの新製品では,最もハイエンドの「PRIMERGY H450」(最大4Way,12ベイ)が,Xeon MP 1.5GHz×1,メモリは512Mバイトの構成で,145万円からとなっている。7月上旬からの出荷が予定されている。主な特徴は,メモリエラーを訂正する「Chipkillメモリ機能」や「スペアメモリ機能」。

 なお,TRIOLE(トリオーレ)コンセプトは,ブロードバンドネットワークとの連携を意識した同社のプラットフォームコンセプト。システム全体を統合し,24時間365日稼動の自律性を持ち,また,業務拡大に柔軟に対応する拡張性を持ったシステムを構築することを目指すものとなっている。

 この日は,.NetでインターネットをベースにWebサービスを構築するマイクロソフトの鈴木和典氏や,「Webサービスにコンピューティングパワーを提供する」というインテルのジョン・アントン社長が同席し,ブレードサーバをはじめとした富士通の取り組みに賛同した。

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[怒賀新也 ,ITmedia]