エンタープライズ:トピックス 2002年5月29日更新

Interview:IFSが可能にする現実的なアプリ導入のアプローチ

 IFSジャパンは5月29日,都内のホテルで「IFS Conference 2002」を開催した。同社は,スウェーデンに本社を置くエンタープライズアプリケーション企業,インダストリアル・アンド・ファイナンシャル・システムズ(IFS)の日本法人。カンファレンスでは,IFSの新アプリケーションスイート「IFS Applications 2002」を軸に展開するグローバル戦略が披露された。

 日本での知名度はそれほど高くない同社だが,NECや日本ユニシスなどがパートナーとして支えている。この日のイベントのために来日した,IFSのベント・ニルソンCEOに,ビジネスの現状とIFSの今後について聞いた。

ベント・ニルソン氏

ZDNet グローバルのビジネスを見て,現状をどう感じていますか。

ニルソン 3月末締めの第1四半期は,欧州,アジア,北米のすべての市場で成長しました。企業のIT投資意欲は,ほとんど横ばいといった感覚で捉えていますので,爆発的な成長とはいきませんが,ビジネスは順調に推移しています。中では,中国での成長が顕著で,大規模なダム建設プロジェクトの「三峡ダムプロジェクト」でも,IFS Applicationsが利用されています。

ZDNet 現在の市場動向では,低予算で高品質なシステムを構築するのがテーマとなっていますが,IFSはどのようなスタンスでそれを実現しようとしていますか。

ニルソン コンポーネントベースでアプリケーションを開発していることです。高品質なシステムを低予算で導入し,さらに早期の投資回収が求められている現状を踏まえて,ほとんどのソフトウェア企業が「小規模に導入を始めて,そこから拡大する」というアプローチを取ろうとしています。

 しかし,そのためには,われわれのようにコンポーネントベースのアプリでなければ現実的ではありません。アプリをコンポーネントとして提供することで,段階的な導入が可能になり,最も効果の出るところから順番に稼動させることができます。

ZDNet 開発言語やサポートするアーキテクチャは?

ニルソン バックエンドはJ2EE,フロントエンドは.Netをサポートし,アプリはJavaとC++で書かれています。

ZDNet ばらばらのアーキテクチャが混在しているように見えますが……。

ニルソン われわれは,フレキシビリティ,アクセシビリティ,コネクティビティの3つが製品に備わっていなければならないと考えています。まず,アーキテクチャの面では,当面フロントエンドはマイクロソフトが強いと考えているために,.Netをサポートしました。3〜5年後はどうなるか分かりませんけどね(笑)。一方,バックエンドは,J2EEの強力なスケーラビリティを評価し,これをサポートすることにしています。

 開発言語についても,統一すべきとは考えていません。現状では,JavaよりC++の方がパフォーマンスに優れているので,コンポーネントの性格によって,どちらを使うか決めています。クライアント/サーバ版とWebブラウザ版の両方を提供しているのも,エンドユーザーの職種によっては,C/Sの方が使いやすいと考えているためです。

ZDNet C/Sを好むのは,どのような職種と考えていますか。

ニルソン 財務部門が利用するアプリや,受注入力画面,製造計画画面などは,C/Sで提供する方が使い勝手が良いでしょう。Webブラウザは普及していますが,まだまだC/Sと同様の操作性を提供できるほど成熟していません。

ZDNet 競合として捉えているのは?

ニルソン SAP,オラクル,J.D.エドワーズ,そしてスカンジナビア半島ではインテンシアです。SAPやオラクルは,コンポーネントとしてアプリを提供できないので,われわれとは開発哲学が異なりますし,投資を早期に回収することができません。一方,インテンシアのJava戦略は,まるで宗教のようで現実的ではありません。これらの中では,アプリをコンポーネントとして提供しているJ.D.エドワーズを最も意識しています。ピープルソフトは,ビジネスの大半を米国で行っており,さらに,ほとんどが政府向けなので,特に意識していません。

 ちなみに,オラクルのデータベース製品は,われわれも利用していますし,素晴らしい製品であると考えています。アプリには疑問がありますが(笑)。

ZDNet J.D.エドワーズに対する強みは?

ニルソン 機能の差異は,かなり多くあると考えています。特に製造業で競合するのですが,製品販売後のサービスも含めたソリューションを提供できるソフトウェアが欲しいという顧客の要望があった場合,われわれが勝てるでしょう。

ZDNet 最後に,先ごろ発表されたIFS Applications 2002で,企業に提供できる価値とは?

ニルソン 現代の企業は,部門の売却や子会社化,新部門の設立などを頻繁に行っており,そのような大きな変化に柔軟に対応できるアプリケーションを求めています。企業が変貌していくことは,企業が成長することに他なりません。われわれは,現実的な価格で,現実的なアプリを,現実的な導入手法で提供し,顧客企業の成長を支援したいと考えています。

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▼IFSジャパン

[井津元由比古 ,ITmedia]