エンタープライズ:トピックス | 2002年6月12日更新 |
Oracle World 北京 2002 Keynote:オラクルのエリソンCEO、北京でも.Netを痛烈に批判
初日のキーノートに登場したエリー・エリソン会長兼CEOは、WTO加盟によって経済のグローバル化が予想される中、中国企業はIT、とりわけインターネット標準をベースとするオープンシステムによって経営の効率化を図るべきだと訴えた。
「中国はアジア経済のエンジン」と話すエリソンCEO |
5年ぶりに北京を訪れたというエリソン氏は、「人々のファッションや交通渋滞、あちらこちらで建設されているビル群など、これほどの変化を目にしたことはない」と目覚しい発展を遂げる中国を賞賛した。
しかし、中国企業はWTO加盟を受け、経営の大幅な効率化を迫られている。オラクルでアジア太平洋地域を統括する執行副社長のデレク・ウイリアムズ氏は、「すべての中国企業がITを活用しているとはいえないし、今でも古いシステムや紙ベースのままという企業もある」と話す。
エリソン氏は、2000年のドットコムバブル消失によって、淘汰されてプレーヤーの数こそ減ったが、ITは依然として成長を維持していることを強調する。
「かつてシリコンバレーでは毎月100を超えるベンチャー企業が現れたが、そんな時代はもう終わった。むしろ、企業の選択はシンプルになった。.Netか、それともオープンシステムかだ」と中国の顧客やビジネスパートナーらに訴えた。
キーノートの大半を参加者からの質問に答える形式にしたエリソン氏は、.Netの話題になると、さらに畳み掛けるようにマイクロソフトに噛みついた。
「マイクロソフトは、“ドット・マンダリン(北京語)”をつくってライセンスするらしい。ひと言しゃべるごとに1セント。安いでしょう?」(エリソン氏)
これは1990年代前半、Windows APIのコントロールに脅威を感じたサン・マイクロシステムズのスコット・マクニーリー会長兼CEOが、マイクロソフトを“口撃”するときに使った常套句だった。ちなみにエリソン氏は、盟友マクニーリー氏の「マイクロソフト vs. 人類」という強烈なメッセージも拝借している。
「.Netはビルのマイクロソフトによって所有され、コントロールされている。彼らは“標準”と言っているかもしれないが、それは真の標準ではない。決めるのはあくまで市場だが、これはマイクロソフトとそれ以外の戦いであり、彼らが勝つことはない」(エリソン氏)
「Oracleの人気はDB2の20倍!」
ステージで参加者の質問に答えながらしだいに上気するエリソン氏は、さらにボルテージを上げ、返す刀で今度はIBMに斬り掛かった。
5月初めに公表されたガートナーのデータベース市場に関する調査結果は、IBMを勢いづかせ、エリソン氏には屈辱を与えたようだ。同調査によれば、2001年の世界のデータベース市場(金額)において、IBMはオラクルを僅差で抑え、首位に返り咲いたとされる。
エリソン氏は、ゴールドマンサックスが行った調査によれば、新しいアプリケーションの60パーセントはOracle上に構築され、IBMはわずかに3パーセントに過ぎなかったとし、「OracleはIBM DB2より20倍もポピュラーだ」と主張した。
キーノートでも、その後のプレスQ&Aでも、IBMとのシェア争いに関する質問が飛び、苛立ったエリソン氏は、「IBM DB2が強いのは、25年前、みなさんの父親の時代に選択されたメインフレームでだけだ」とも。
さらにガートナーの調査を「クレージー」呼ばわりし、「私の知る限り20ものレポートがオラクルがトップシェアだとしているが、調査方法を秘密にしているガートナーだけが違った。私が大統領選挙の票を数えていいのであれば、私が大統領だ」と悪乗りした。
全社的なレイオフの噂にも、4万2000人の社員のうち、組織統合などによって200の職を削減したが、「それをレイオフと呼ぶのだろうか?」と一蹴する。
「IBMは、シェア拡大を祝って数千人規模のレイオフをするそうだが……」と、歯に衣着せぬエリソン氏の面目躍如だ。
「私を信頼してくれ」とエリソン大統領?! |
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[浅井英二 ,ITmedia]