エンタープライズ:トピックス 2002年6月12日更新

WTO加盟の中国が「甲骨文」を熱烈歓迎、ソフトウェア産業の国際化に取り組む

 目覚しい成長を遂げる中国の首都、北京で「Oracle World 北京 2002」カンファレンスが開幕した。

 会場となったのは、北京西部のワールドトレードセンター(中国国際貿易中心)に隣接するケリーセンターホテル(嘉里中心飯店)。周辺は外資系企業が拠点を構え、近代的な高層ビルが幾つもそびえる。

 初夏を迎え、30度を超える暑さの中、オラクル(中国名:甲骨文)からラリー・エリソン会長兼CEOをはじめとするエグゼクティブらがずらりと顔をそろえたほか、地理的にも経済的にも近しい日本から新宅正明社長らも参加した。

 オラクルの大規模なカンファレンスは、日本を除けば、今回のOracle World 北京がアジアで初めての開催となる。同社によれば、26カ国から6000人が登録したという。

 オープニングセッションの冒頭、北京市政府のタン・ロン副秘書長があいさつに立ち、Oracle World 北京の開催を歓迎した。

 ロン氏は、「WTO(世界貿易機構)に加盟したわれわれは、ソフトウェア産業を国際化し、さらに改善していく努力を惜しまない」とし、オラクルのような欧米のソフトウェアベンダーの協力が中国や北京の経済にはますます重要になるとの認識を示した。

「北京は2008年のオリンピックの準備にまい進する」とロン氏

 ロン氏によれば、既に北京市には多国籍企業によって28に上るR&Dセンターが開設されているという。

「オラクルも北京に多大な投資を行い、企業のIT化を支援してくれている。今回のOracle Worldもその1つだ」とロン氏。

 オラクルは中国開発センターを広州・深せんにオープンしたばかりだが、ラリー・エリソンCEOはこの日、北京にも近く開発センターをつくる計画を明らかにした。北京では主に政府向けシステムの開発が行われることになるという。

 2008年には北京オリンピックというビッグプロジェクトを控えており、眠れる獅子が動き始めた。

 エリソン氏は「中国は、“エンジン”として、ほかのアジア諸国の経済まで牽引してくれるだろう」とし、市場およびエンジニアリングの両面で中国のパワーを高く評価している。

 また、オラクルでアジア太平洋地域を統括する執行副社長のデレク・ウイリアムズ氏は、「中国以外の人たちにとっては“窓口”となり、また中国の人たちにとっては世界への“窓口”となる。中国企業は」とOracle Worldの意義を表現する。

11年前に中国オフィスを開設したことを強調するウイリアムズ氏

 中国企業はWTO加盟によって経済のグローバル化という荒波を受けている。そうした厳しいプレッシャーの中でも勝ち組に入るには、欧米の成功事例に学ぶのが近道だ。Oracle World 北京のセッションのうち、実に25パーセントが顧客の成功事例で占めているのは、そうした背景がある。

[浅井英二 ,ITmedia]