エンタープライズ:トピックス 2002年6月14日更新

Oracle World 北京 2002 Keynote:オラクルが「止まらない」ワールドカップチケット販売サイトを構築?

 中国の首都、北京で開催中の「Oracle World 北京 2002」は6月14日、最終日を迎え、午前のキーノートにオラクル(中国名:甲骨文)で上級副社長兼チーフマーケティングオフィサーを務めるマーク・ジャービス氏が登場した。ステージでは、J2EEベースのOracle9i Application Server(Oracle9i AS)を使い、チケットも買える「WorldCup Mania.com」サイトを手早く構築してみせた。

 Oracle World 北京が開幕した12日にも、大阪長居スタジアムで行われたFIFAワールドカップの「ナイジェリア vs. イングランド」戦に駆けつけたというジャービス氏。英国生まれで、サッカーが大好き。実質的なクロージングセッションとなった彼のキーノートでも、ユニフォーム姿ではしゃいだ。

 Oracle9iマーケティングとOracle Technology Network(OTN)を担当するフランス生まれのレネ・ボンバーニ副社長には、「フランスは残念だったね」と悪乗りする一幕も。

ボンバーニ氏(左)はフランス生まれ。英国のジャービス氏は終始得意満面だった

 FIFAワールドカップでチケット販売のトラブルがあったせいだろうか、この日のキーノートではオラクル製品を使い、手早くチケット販売やホテル予約のWebアプリケーションを構築していくデモを披露した。合間には、「Bill's WorldCup Central」と名づけられたワシントン州シアトルの某社がチケット販売サイトの構築で苦労しているという皮肉たっぷりのビデオも流され、会場も沸いた。

「われわれがこれから構築する“WorldCup Mania.com”は、オープン標準のJ2EEがベースになっている。オラクルだけでなく、BEA、IBM、そしてサンの製品も選択できる。一方、.NetベースのBill's WorldCup Centralはマイクロソフトの製品しか使えない」(ジャービス氏)

 Oracle9i ASの一部である「Oracle9i AS Portal」では、デザインテンプレートがサポートされており、HTMLページやテキストファイルをドラッグ&ドロップするだけで、一貫性のあるWebサイトが構築できるという。コンテントが公開される前にWebマスターの承認を促すモジュールもある。

 また、Oracle9i JDeveloperを使えば、「10年前に書いた」というチケット販売のためのPL/SQLコードも、Webサービスでラッピングし、公開することができる。

 ジャービス氏は、「なんて怠け者のデベロッパーなんだ」と、デモのためにステージに上がったボンバーニ副社長をからかう。

 Oracle9i ASでは、Oracle9i Databaseと同様、クラスタリングをサポートしている。急激なセッション数の増加にも、ただマシンを追加していくだけで対応できる。データベースとアプリケーションサーバを1カ所で管理できるメリットも生まれる。

 クラスタリングのもう1つのメリットである信頼性をアピールするデモも行われた。ステージには中国のレジェンドが開発したXeonベースのラックマウント型IAサーバが置かれ、Red Hat LinuxとOracle9i製品を稼動させた。

 6月5日、オラクルは米国でデルコンピュータおよびレッドハットの協力を得て、「Unbreakable Linux」(不死身のLinux)を発表したばかり。中国では、ソフトウェア産業育成のため、政府がLinuxを後押ししている。

 この日のデモでは、ジャービス氏がIAサーバが詰め込まれたラックに近寄り、そのうちの1台のスイッチを切ったが、WorldCup Mania.comサイトは止まらず、サービスを続けた。初日に行われたラリー・エリソン会長兼CEOのキーノートでは、急きょ予定が変更され、「Unbreakabale Linux」の中国向けメッセージが封印されていたが、FIFAワールドカップで実際にチケット販売のトラブルがあっただけに、WorldCup Mania.comは十分なアピールとなった。

 なおこのほか、複数のデベロッパーらがOTN上でコラボレーションしながらオンラインでアプリケーションを開発できる「Project Marvel」と呼ばれるサービスも披露された。

「止まらない」チケット販売サイトがあれば……と思ってるサポーターも多いはず

[浅井英二 ,ITmedia]