エンタープライズ:トピックス 2002年6月25日更新

Linux Column:韓国インターネット事情とLinux

 先週1週間は韓国に行っていた。当然(?)ワールドカップだ。1994年のアメリカに行き損ね、フランスにはロスタイムギリギリで幸運をゲットし3試合観戦。今回は1週間の滞在で5試合観戦というハードスケジュールだ。まあ、その話は別のところでする予定なので、ここではIT関係の話をしよう。1週間滞在して経験し、垣間見た韓国のインターネット事情について紹介してみたい。

 まず、あまりにも安価なホテルにばかり泊まっていたせいか、結局1度として部屋からダイアルアップでインターネットに接続することができなかった。まぁ、ワールドカップでもなければ一生行かないような田舎町だったので仕方ないが、電話線がモジュラー線でなければ手も足も出ない。さらに外線発信9番を押した後、アクセスポイントへの接続のための番号をダイアルしようにも「0」を発信した途端に話中……。どうなってるの?

 韓国のインターネットといえば「PC房」というインターネット屋が有名だ。1時間500ウォン(約50円)ぐらいでPCを貸してくれる。確かに街中の至る所に看板が目立つ。なにせ韓国の看板と言うのは99%ハングル文字なので、PCの文字はなおさら際立って見える。しかし、ハードスケジュールをこなさなくてはならない筆者は結局1回も入ることはできなかった。

 それでも、移動途中の駅の構内に特設PC房があり、そこでチャレンジしてみることができた。しかし韓国語版Windows 98で、日本語フォントもダウンロードしてみたが日本語のページは表示できず断念。仕方がないので、店番をしていた「オッパァ」(お兄ちゃん)のPCのイーサネットケーブルを引っこ抜いて持参したVAIOに接続。DHCPで問題なく接続できたのでした。

 このときに限らず、空港などいくつかの公共の場所にPCが置いてあり、自由に利用できるようになっていた。あるときは置いてあるPCを使い、あるときはケーブルを引っこ抜いてと、不便ながらもなんとか接続することはできていたので、最悪の事態はまぬがれたというところだろうか。

 しかし、最後のソウルの空港ではWindows XPを使っていたが、それ以外はまるで揃えたかのようにWindows 98だったのは、PC房が流行し始めたタイミングと一致するのだろうか……。筆者としては、Linuxを使ったインターネット端末の1つでもあることを期待していたのだが、これは見事に肩透かしをくらった。

 しかし、どのPCも利用者が結構好き勝手をやっているらしく、環境的にはグチャグチャという印象が否めなかった。せめてWindows 2000あたりで一般ユーザー権限で利用させていれば多少は違うような気もするのだが、コスト的にも難しいところか。

 このような公共の場所の端末にこそ、Linuxを利用するのがいいと思うのだが、それなりのカスタマイズやら何やらも必要なだけにコスト的なメリットの追求は難しいのかもしれない。それなりの台数が見込めるのであればビジネスになりそうだ。

 ただし、使い勝手もWindowsしか知らないユーザーにとってはどうなのだろう。これもある程度カスタマイズなどでカバーしなくてはならないだろう。

 Linuxでも、やろうと思えばやれると思う。しかし、手間隙をどうやってビジネスに結びつけるかを考えないと、普通に使えるWindowsを置き換えるのは難しそうだ。やれホットスポットだなんだといい始めた日本でも、今後は気軽に使えるインターネット端末の設置は増えるだろう。そういった分野でのLinux利用が増加するには、ちょっとまだハードルが高いかもしれない。

[宮原 徹びぎねっと]