エンタープライズ:コラム 2002/07/02 20:28:00 更新


Linux Column:オープンソースプロジェクトの難しさ

先日のワールドカップ決勝の余韻が覚めやらぬ筆者の元に、突然ニュースが飛び込んできた。Kondara MNU/Linuxを開発していたKondara Projectが解散するというのだ。

 先日のワールドカップ決勝の余韻が覚めやらぬ筆者の元に、突然ニュースが飛び込んできた。Kondara MNU/Linuxを開発していたKondara Projectが解散するというのだ。

 Kondaraは一時期、コミュニティのパワーというのを見せ付けてくれるディストリビューションであり、プロジェクトだった。一世を風靡したと言ってもいいだろう。しかし、商用パッケージ化していく段階での流れを見ていた筆者は、はっきりと違和感を感じていたのを覚えているし、人からKondaraについて聞かれると、(大変申し訳ないが)ビジネスとしてはきっとうまくいかないだろうと答えていた。

 その最大の理由は、プロジェクト自身の指向性が大きく「楽しむこと」に向いていたからだ。ビジネスの世界というのは、基本的につまらないところだ。システムには安定性が求められるし、継続性も求められる。システムに対して常に懐疑的であり、場合によっては後ろ向きだ。どう見ても方向性の合わない両者が果たしてどのように展開するのだろうと行方を見守っていたが、途中で見失ってしまった。活動が見えなくなってしまったのである。

 だから筆者自身は、このニュースはそれほど唐突なものとは思わないし、目を覚ますような内容でもなかった、と言ったらいいすぎだろうか……。1つだけ残念なのは、Kondara Projectが解散すると言う事実だ。筆者としてはもっと「ガッツン、ガッツン」やってもいいんじゃないかな、と思っていたのだが、一時期の熱が冷めると活動が収束気味だったのが残念である。

 この事実がLinuxが駄目だ、ということではない。物事は、生まれては消え、消えては生まれていくものだ。しかし、楽しみの追求から何かを形作るのが日本人は下手な方だと思う。ましてやそれを続けていくのもまた困難だ。

 果たして次に続く何かが生まれてくるのだろうか。

[宮原 徹,びぎねっと]