エンタープライズ:ニュース 2002/07/04 20:12:00 更新


ディストリビューション間の違いは依然として残るが

システム運用の点から見た場合、Linuxディストリビューション間には依然としてわずかな違いが残っているが、LinuxをサポートするシステムベンダーやISVらが、Linux Standard Base(そしてLiN18ux)に準拠したプラットフォームを手に入れるためのチャンスなのだ。

 UnitedLinuxは、SuSE、コネクティバ、カルデラ、そしてターボリナックスという4つの異なるブランドで販売される共通のLinuxディストリビューションを開発するための取り組みだ。

 これはレッドハットと競合するためのマーケティング上の駆け引きではない。LinuxをサポートするシステムベンダーやISVら(IBM、HP、NEC、富士通シーメンス、プログレスソフトウェア、ボーランド、コンピュータアソシエイツ、およびSAP)が、Linux Standard Base(そしてLiN18ux)に準拠したプラットフォームを手に入れるためのチャンスなのだ。

 4社のLinuxパートナーは、SuSE Enterprise Serverとともにそれぞれに独自の付加価値を持たせたシステムソフトウェアを販売でき、このため自社のLinuxディストリビューションにユニークな機能を持たせ続けると同時に、異なるLinuxプロバイダー間でのポータビリティも実現できるようになる。

 4社のUnitedLinuxメンバーがレッドハットやサンのLinuxと競合するという事実は、同団体の焦点を明確にし、成功のチャンスを拡大してくれる。UnitedLinuxには、企業にとって標準のLinuxディストリビューションになるための手段、動機付け、そしてチャンスがそろっている。

 本質的に、統一されたLinuxへの期待はあるものの、システム運用の点から見た場合、Linuxディストリビューション間には依然としてわずかな違いが残っている。期待できる変化は、コアLinuxオペレーティングシステムを共有することによってISVやOEMメーカーらの認定作業が簡略化されることだ。これにより、顧客はエンタープライズ機能を搭載して最適化された標準バージョンのLinuxを世界規模で導入できるようになる。

 UnitedLinuxのメリットを享受することになる企業の1社がIBMだが、それは同社がこれを利用することでNUMAなどのサポートを視野に入れることができるためだ。もしこれが成功すれば、IBMは自社のDB2、WebSphere、およびDominoといった各種アプリケーションを世界規模で販売できるようになる。

 目下のところ、IBMは自社のLinux Technology Centerが有するエンジニアリング関連の専門知識を活用し、Linuxカーネルの開発でLinuxコミュニティーと共同で活動を進めているが、安定したカーネルのリリースに向けたプロセスは2年から2年半ほどかかる。IBMが製品化に要する期間を守り、企業顧客向けにLinuxカーネル内でNUMAなどの高度な機能やスケーラビリティの拡大を実現するためには、市場参入のための代替戦略としてUnitedLinuxが必要になる。これで、エンタープライズLinux市場はレッドハット、UnitedLinux、そして近日中に登場するSun Linuxに分かれることになるだろう。

[Stacey Quandt, Industry Analyst, Giga,ITmedia]