エンタープライズ:コラム 2002/07/08 20:45:00 更新


Gartner Column:第54回 Webサービスとエンタープライズポータルの合流に期待

Webサービスに関する議論の中で不足している要素のひとつが人間のユーザーとのやり取りに関する機能(今風に言えば、ユーザーエクスペリエンス)である。このギャップを埋めてくれるのは次世代のエンタープライズポータル製品になるだろう。

 Webサービスに関する議論の中で不足している要素のひとつが人間のユーザーとのやり取りに関する機能(今風に言えば、ユーザーエクスペリエンス)である。このギャップを埋めてくれるのは次世代のエンタープライズポータル製品になるだろう。

 前回、Webサービスの本質は疎結合型のプログラム連携を提供することにあると述べた。また、他のさまざまなメディアでも、Webサービスによりインターネットが「情報アクセスの媒体」から「アプリケーション連携の媒体」に変革されていくと述べてきた。このような話は別に私だけではなく、多くの識者が語っていることであり、Webサービスの本質はかなり世の中に理解されてきていると思う。

 しかし、これらの議論において大きく不足しているのは、ユーザーインタフェース関連の機能に関する議論である。確かに、Webサービスによりイントラネット上のアプリケーション連携に新たな選択肢が加わり、そして、インターネット上でのアプリケーション連携機能が大きく飛躍することが期待されるわけだが、アプリケーションから最終的に恩恵を受けるのは人間である。アプリケーションが価値を最終的に人間に提供する部分、つまり、UI(今風に言えば、ユーザーエクスペリエンス)に関する議論を欠いては、Webサービスによる次世代インターネットのビジョンは完結しないだろう。

 言うまでもなくインターネット/イントラネットの世界で、今、アプリケーションとユーザーとのやり取りを提供する最も重要な要素はWebブラウザである。確かにWebブラウザの簡便性と汎用性は魅力である。これにより、特定のクライアント機器に依存せずにアプリケーションを利用することが可能になったからである。しかし、同時に素のブラウザだけでは、真に使いやすいユーザーエクスペリエンスを提供することは難しい。この重要なギャップを埋める存在がエンタープライズポータルになる。

 改めて言うまでもないが、エンタープライズポータルとは、さまざまな情報を統一されたインタフェースで提供する「表玄関」的存在である。エンタープライズポータルの価値は、さまざまなコンテンツを集約し、シングルサインオン、情報検索、コンテンツ管理(特に、パーソナライゼーション。ユーザーの特性に応じてコンテンツを動的に変化させる機能)などの付加価値を提供する点にある。

 ポータルが提供する機能はいわばコンテンツの疎結合であり、Webサービスの目指す世界とマッチしている。次世代のエンタープライズポータル製品はWebサービスを積極的に取り込むことでより柔軟なコンテンツ集約機能を提供することになるだろう。

 ガートナーは、Webサービスをサポートするプラットフォーム製品が、プロダクションプラットフォーム(開発環境に相当する)、マネジメントプラットフォーム(システム管理環境に相当)、プロデューサープラットフォーム(アプリケーションサーバに相当)、コンシューマープラットフォームへと分化していくと見ている。この最後の要素がエンタープライズポータルにあたる機能となる。

 ここで重要な課題となるのはエンタープライズポータルへのインタフェースとなる部分の標準化である。もちろん、この課題は多くのベンダーが既に認識している。WebサービスのUI機能の仕様案として、ポータル専業ベンダーのエピセントリックはWSUI(Web Service User Interface)を、IBMはWSXL(Web Service Experience Language)を提案してきた。

 現在では両者の案は統合され、業界標準化団体であるOASISの下でWSIA(Web Service for Interactive Applications)およびWSRP(Web Service for Remote Portals)としての標準化作業が進行中である。

 ただし、これらの標準案はまだ製品として広範に採用されるレベルまで至っていない。この状況はおそらく来年の前半頃までには変わることがないだろう。しかし、その後、Webサービスのユーザーエクスペリエンス部分の標準化がある程度固まり、ポータル製品への採用が行われることで、Webサービスそしてエンタープライズポータルの両方の普及がより一層加速されることになるだろう。

[栗原 潔,ガートナージャパン]



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